セッション情報 |
シンポジウム16(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
肝・胆道疾患と脂質代謝を見直す-消化吸収異常の関与とその治療-
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タイトル |
消S16-11:13C-trioctanoinと13C-octanoin呼気試験を用いた新しい消化吸収能評価法の開発とその臨床的意義
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演者 |
中田 浩二(東京慈恵会医大・外科DELIMITER東京慈恵会医大・消化管外科) |
共同演者 |
柏木 秀幸(東京慈恵会医大・外科DELIMITER東京慈恵会医大・消化管外科), 矢永 勝彦(東京慈恵会医大・外科) |
抄録 |
消化管における脂質の消化吸収の制御は、脂質代謝異常に基づく消化器疾患の治療戦略として期待されるが、その治療効果を評価するためには脂肪の消化吸収能を定量的に評価しうる検査法の開発が必要である。13C呼気試験法による消化吸収能検査(13C法)は、簡便・非侵襲的に行うことができ、新しい検査法として注目される。【目的】13C法において(1)2種類の試薬の使用、(2)薬理学的な吸収能の指標AaとWagner-Nelson法解析(WN)の導入、により定量的・経時的に消化吸収能を調べ、かつ消化能と吸収能を分離して評価しうる新しい検査法の開発を試みた。【方法】健常人20名に13C-trioctanoin (TO)呼気試験(BT)と13C-octanoin (OA) BTを行った。液状試験食{(ラコール[200kcal/200ml]+生クリーム35ml;脂肪20g,355 kcal)に13C-TO 100mgまたは13C-OA 100mgを混和}を投与し、摂取後5時間まで呼気を採取した。測定値にWNを加え、経時的な(消化)吸収曲線を作成した。評価指標としてTOの消化吸収能Aa=AUC∞・Kel・Vd、半量消化吸収時間(HDAT;TOのT50%-T10%)、半量吸収時間(HAT;OAのT50%-T10%)、半量消化時間(HDT;HDAT-HAT)、初期消化時間(IDT;T10%TO-T10%OA)を算出した。【成績】健常人では、TO吸収曲線はOA吸収曲線と近似したが、やや右側にシフトし消化によるタイムラグが存在することが明らかとなった。健常人におけるAaは18 Δ‰・h、HDATは104 min、HATは38 min、HDTは66 min、IDTは23 minであった。【結論】13C法に(1)(2)の工夫を加えることで、定量的・経時的に消化能と吸収能を分離して評価することが可能となった。今回、得られた測定値を健常人基準値として本検査法を行うことで、脂肪の消化吸収障害の関与が疑われる疾病や術後の病態解明や、薬物治療による脂肪の消化吸収能制御の効果判定やモニタリングに役立つことが期待される。 |
索引用語 |
13C呼気試験, 消化吸収能評価 |