セッション情報 シンポジウム17(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

カプセル内視鏡の進歩

タイトル 消S17-4追2:

Red spotsの鑑別にカプセル内視鏡FICEは有用である

演者 前田 光徳(獨協医大・消化器内科)
共同演者 菅家 一成(獨協医大・消化器内科), 平石 秀幸(獨協医大・消化器内科)
抄録 【目的】Red spotsには、angioectasiaや小腸炎の発赤(炎症性発赤)等あるが、カプセル内視鏡(CE)の読影の際、これら疾患の鑑別に苦慮することがある.そこで今回、angioectasiaと炎症性発赤の鑑別にflexible spectral imaging color enhancement (FICE)の有用性について検討したので報告する.【対象と方法】2003年2月から2011年3月まで獨協医科大学消化器内科でCEを施行した279例(平均年齢55.1±19.4歳、男:女=195:84)中、ダブルバルーン内視鏡で確認がとれたangioectasia症例(A群)13例(平均年齢68.1±6.8歳、男:女=9: 4)と炎症性発赤症例(E群)13例(平均年齢57.5±16.2歳、男:女=9: 4)に対して検討を行った.検討項目として、色調の強さを3段階に分け、病変の色調の強さを比較し、またFICE 3において、背景の黄緑色に対して病変部の周囲に青色の領域が出現する場合をblue sign陽性と定義し、この有無についても比較検討を行った.なお2群間の比較にはt検定を用い、危険率1%にて有意差ありとした.【結果】病変部の色調について、A群は平均2.69±0.48点、E群は平均2.69±0.63点であり、統計的有意差を認めなかった(P=0.359). blue sign陽性症例の割合は、A群は平均15.4±37.6%、E群は平均92.3±27.7%であり、統計的有意差を認めた(P<0.001).【考察・結語】CEにおけるFICEの報告では、FICE 1、2はangioectasia、びらん、潰瘍等の検出に有用とされている一方で、FICE 3は病変検出の有用性は認められていない(Gastrointest Endosc : 2010).しかしFICE 3は、通常のCE像では検出困難な軽度の色調変化を感知できるため、小腸炎の軽度な発赤等の色調変化に対して、周囲の黄緑色とは違う青色を呈したと考えられる.この現象は、FICE1、2より、FICE 3の方がわかりやすい.Red spots、つまりangioectasiaと炎症性発赤の鑑別に、このblue signは臨床上有用な可能性があり、今後症例を増やして検討していきたい.
索引用語 カプセル内視鏡FICE, blue sign