セッション情報 シンポジウム17(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

カプセル内視鏡の進歩

タイトル 内S17-5:

小腸病変に対するコントラストカプセル内視鏡検査の有用性についての検討

演者 小形 典之(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
共同演者 大塚 和朗(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 工藤 進英(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
抄録 【目的】2000年にカプセル内視鏡が登場し、低侵襲で簡便に全小腸の観察を日常臨床にて行えるようになった。近年、内視鏡による画像強調観察技術の発展が目覚ましく、広く臨床に役立てられている。オリンパス社から、ヘモグロビンの吸光率の高い波長領域の発光強度が高くなる白色LEDを使用した小腸用カプセル内視鏡、オリンパスEC type1(コントラストカプセル)が開発されている。このコントラストカプセルは、大きさは26mm×11mmで、外形はこれまでの小腸用カプセル内視鏡と同一である。今回、我々は小腸病変に対するコントラストカプセルの有用性について検討を行った。【方法】当院にて2009年10月から2011年1月までに、原因不明の消化管出血の症例で、腹部CT検査を行い炎症性腸疾患や腫瘍性病変等を除外した52症例に対し、通常のカプセル内視鏡で検査施行した30例(A群)と、コントラストカプセル内視鏡で施行した22例(B群)、その結果について比較検討を行った。【成績】A群の有所見率は60%(18/30例)、内訳はびらん潰瘍性病変患者11例、血管性病変患者6例、びらん潰瘍性病変と血管性病変両者を認めた患者1例であった。B群の有所見率は63.6%(14/22例)、内訳はびらん潰瘍性病変7例、血管性病変5例、びらん潰瘍性病変と血管性病変両者を認めた患者2例であった。びらん潰瘍性病変を認めた1症例あたり平均個数はA群では5.7±5.1個、B群では16.7±12.4個であり、有意にB群で検出されたびらん潰瘍性病変の個数が多かった(p<0.05)。また、得られたコントラスト画像と白色光の通常画像とを比較し、血管性病変の症例では、視認性の向上が認められた。【結論】今回、コントラストカプセルにより検出率や視認性の向上を認めた症例が存在した。コントラストカプセルの登場により、カプセル内視鏡検査においても画像強調観察が可能となり、診断の向上に役立つものと考えられた。
索引用語 カプセル内視鏡, 小腸