セッション情報 シンポジウム17(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

カプセル内視鏡の進歩

タイトル 内S17-10追3:

大腸カプセル内視鏡の側方発育型腫瘍(LST)に対する検出能の検討

演者 角川 康夫(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター・検診開発研究部DELIMITER国立がん研究センター中央病院・消化管内視鏡科)
共同演者 斎藤 豊(国立がん研究センター中央病院・消化管内視鏡科), 田尻 久雄(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】海外では5mm以上のポリープに対する大腸カプセル内視鏡の感度は58-77%とされているが、表面型腫瘍に対する検討はこれまでなされていない。そこで、大腸カプセル内視鏡の側方発育型腫瘍(LST)に対する検出能を明らかにする。
【方法】2009年から2011年までの期間に多施設共同研究で行った大腸カプセル内視鏡症例のうち、当院で大腸LSTに対しESDが施行された10症例11病変を検討対象とした。患者背景は以下の通り; 年齢(中央値): 63.5才、男性:女性=3例:7例、肉眼型:LST-G(n=6)、LST-NG(n=5)、大きさ(中央値):30mm (range; 25-40mm)、病変部位:盲腸(n=5)、上行結腸(n=1)、横行結腸(n=2)、下行結腸(n=1)、S状結腸(n=1)、直腸(n=1)、深達型: tubular adenoma (n=2)、M (n=8)、SM1 (n=1)。いずれの症例も大腸カプセル内視鏡後2日以内にESDが施行された。また、大腸カプセルの腸管前処置は1日法(n=7)あるいは2日法(n=3)により行われ、カプセルはいずれもPilcam Colon (C1)が使用された。
【成績】ESD対象例: 10症例11病変のうち、ESD前の大腸カプセル内視鏡で対象病変が観察されたのは8例9病変(82%)であった。肉眼型別ではLST-G(5/6; 83%)、LST-NG(4/5; 80%)であった。カプセル内視鏡で観察されなかった2病変は以下の通り:(i) 60才女性、盲腸に35mm大のLST-G、カプセル画像に病変が写りこまず、 (ii)70才女性、盲腸に25mm大のLST-NG、カプセル電源が再点灯せず。
【結論】大腸カプセル; Pilcam Colon (C1)を用いた大腸LSTに対する感度は82%であった。今回の検討で明らかになった問題点は次世代カプセルPilcam Colon 2(C2)で改善される可能性が高く、今後Pillcam Colon 2(C2)を用いたさらなる検討が望まれる。
索引用語 大腸カプセル, 大腸LST