セッション情報 シンポジウム17(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

カプセル内視鏡の進歩

タイトル 消S17-11:

磁場を用いた自走式カプセル内視鏡によるヒトの大腸の観察

演者 能田 貞治(大阪医大・2内科)
共同演者 梅垣 英次(大阪医大・2内科), 樋口 和秀(大阪医大・2内科)
抄録 【背景・目的】カプセル内視鏡(以下CE)の診断は撮影された静止画像の解析であるため、チューブ式内視鏡と異なり、病変部を検者がリアルタイムに任意の方向から観察することができない。この欠点を克服するため、当科では龍谷大学工学部システム工学科(大塚尚武教授)と共同で、磁場を利用して駆動制御する自走式CE(self-propelling capsule endoscope:以下SPCE)の開発に取り組んできた。これまでに犬の生体胃内をSPCEが自走し、リアルタイムに内視鏡観察が可能になったことを報告している。今回、ヒトの大腸においてSPCEを自走させ内視鏡観察が可能であったので報告する。【方法】SPCEは、CEの端に小型磁石を内蔵するヒレを取り付けた構造である。外部から交流磁場を与えることによって、ヒレを動かし推進力を与えるとともに、磁場の波形を制御することによって、方向や速度を自由自在に制御することができる。SPCEの全体の寸法は12×65mmで鰻型である。ヒレは柔らかいシリコン樹脂製である。被験者は、健常人で事前に大腸内視鏡検査を施行し、大腸に病変がないことを確認している。被験者を左側臥位とし、まず、注水500mlを行った。その後、SPCEを肛門より大腸内に挿入し、次いで大腸内視鏡を挿入して下行結腸までSPCEを誘導した。下行結腸にてSPCEを用いて内視鏡観察を行った。【結果】SPCEは、下行結腸を移動しリアルタイムに内視鏡画像を得ることができ、また、明らかな腸管壁の損傷も無く安全に行うことができた。現段階ではまだまだ改善の余地があり、今後全大腸の観察に向けて更なる検討を重ねる必要があると考えられた。
索引用語 カプセル内視鏡, 自走式