セッション情報 シンポジウム17(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

カプセル内視鏡の進歩

タイトル 内S17-12:

体外式磁気誘導法を用いたカプセル内視鏡による全消化管病変の診断治療

演者 太田 英敏(札幌整形循環器病院・消化器内科)
共同演者 勝木 伸一(小樽掖済会病院・消化器病センター)
抄録 カプセル内視鏡(CE)は重力と腸管の蠕動のみが、推進力で、走行を恣意的にコントロールすることはできず、食道・小腸以外の消化管検査への適応は困難と考えられてきた。 我々は小腸用カプセル内視鏡(SB,SB2;GivenImaging)に磁石リングを装着し、体外永久磁石の遠隔操作でCEをコントロールする技術を開発しDDWで報告してきた。特徴は、大規模な装置・電力は不要で、全てのカプセル内視鏡に適用でき、消化管造影検査に習熟した医師であれば、全消化管を短時間で観察可能なことである。対象と方法:CEが適応となった10名を対象に、事前の胃内視鏡、大腸内視鏡所見との比較を行った。検査者は事前の内視鏡所見を知らされないBlindの形式で行った。CEは事前に操作を訓練した専門医3名が当った。前処置は大腸内視鏡検査に準じ2Lの腸管洗浄剤を内服、CE服用直前に消泡剤入りの水500mlを、CE内服後も1Lの水分を摂取した。内服直後、食道部に配置した体外磁石でCEをスタックした後誘導を開始した。胃内では水浸下で体位変換と磁石操作を利用して目的の位置に誘導した。また、観察部位の同定は自作のリアルタイムデュアルビュアーでCEの3次元位置情報と内視鏡画像を参考にした。トライツ靱帯通過後は通常検査同様行動自由とした。回盲部近傍に到達時警報を出して帰院させCEの誘導を再開した。胃、大腸の通過時間を通常検査と比較するとともに、事前検査とCEの所見を統計学的に比較した。結果:胃の観察は平均8分で、胃内部の全ての部位が観察可能であった。胃内部では水の充填に伴い粘膜の色調が褪せること、凹凸が平坦化するため所見の拾い上げに注意が必要となる。胃では感受性98%、特異性92%で、CEが優る部位も認めた。大腸ではCEは前処置の状態に大きく結果が依存しており、大腸内視鏡に比し改善が必要であった。結論:体外式CE誘導技術により、1個のCEで全ての消化管が観察可能となった。現在、この位置決め技術を生検・治療へ応用・展開中である。
索引用語 カプセル内視鏡, 磁気ナビゲーション