セッション情報 シンポジウム18(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

IgG4関連疾患の概念と診断

タイトル 消S18-1:

IgG4関連疾患の臨床的意義

演者 菅野 敦(東北大・消化器内科)
共同演者 下瀬川 徹(東北大・消化器内科)
抄録 (はじめに)自己免疫性膵炎(AIP)は様々な膵外病変を呈することで知られるが、AIPを含めたこれらの疾患はIgG4関連疾患(IgG4 related disease:IgG4RD)と定義され、その疾患概念が確立しつつある。しかし、その全体像は不明であり、AIPとの関連も明らかではない。(目的)IgG4RDの臨床的意義を明らかにすること。(対象)当科においてAIPと診断された80例中経過観察の可能であった74例を対象とした。(方法)(1)IgG4RDの各臓器別頻度(2)IgG4RDの部位を頭頸部(唾液腺炎、下垂体炎、慢性甲状腺炎)、胸部(肺門部リンパ節、肺病変)、肝胆道部(硬化性胆管炎、肝偽腫瘍)、後腹膜部(後腹膜線維症、腎疾患、腹部リンパ節腫脹)にわけ、部位毎の頻度とIgG4値、またIgG4RDの再燃との関連について調べた。再燃とは、IgG4RDを最初に診断したのちに、治療の有無に関係なく、体のいずれかにIgG4RDが発症した場合と定義した。(結果)(1)膵以外のIgG4RDを認めた症例は62/74例(84%)であった。IgG4RDの各臓器別頻度は硬化性胆管炎49例、唾液腺炎24例、肺門部リンパ節腫脹19例、慢性甲状腺炎4例、涙腺炎3例、下垂体炎、間質性肺炎、肝偽腫瘍、後腹膜線維症、間質性腎炎、各2例であった。(2)各部位のIgG4RDの症例数は頭頸部27例(内24例は他の部位と重複)、胸部21(18例重複)、肝胆道部46例(23例重複)、後腹膜部7例(6例重複)と肝胆道は単独で存在することが多かった。重複例を除いた各部位別の再燃率は頭頸部1/3例(33%)、胸部0/3例(0%)、肝胆道5/23(23%)、後腹膜0/1(0%)であったが、重複例は12/29例(41%)と高かった。重複例と非重複例で再燃の有無をFisher exact testを用いて比較検討したところp=0.02と有意差をもって重複例で再燃率が高かった。重複例と非重複例に分けてIgG4値(md/dl)を比較すると851.8±1087.4:546.7±410.8(p=0.66)で 有意差を認めなかった。(まとめ)IgG4RDが全身に重複して存在する場合は、再燃する症例が有意に多く、再燃の危険因子となる可能性が示唆された。
索引用語 自己免疫性膵炎, IgG4関連疾患