セッション情報 シンポジウム18(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

IgG4関連疾患の概念と診断

タイトル 消S18-2:

IgG4関連疾患の診断の現状と臨床病理学的検討

演者 西野 隆義(東京女子医大八千代医療センター・消化器内科)
共同演者 土岐 文武(土岐医院), 白鳥 敬子(東京女子医大・消化器内科)
抄録 【目的】IgG4関連疾患の包括診断基準案に基づく診断の現状および臨床病理学的検討を行った。【方法】2011年2月までに経験した包括診断基準案で疑診以上のIgG4関連疾患52例(M:F=33:19,平均年齢65歳)を対象とした。病変分布は肝胆膵、頭頚部(涙腺・唾液腺)、胸部(肺・縦隔壁)、後腹膜(腎・後腹膜・血管)の4領域に分類し、3領域以上を全身型とした。肝生検(n=17)、顎下腺・口唇生検(n=7)および腎生検(n=4)の意義を検討した。【成績】1) 包括診断基準における確診21例、準確診17例および疑診14例である。2) 病変分布(重複あり)は、膵47例(M/F=31/16)、胆道38例(28/10)、涙腺・唾液腺22例(11/11)、胸部・縦隔11例(9/2)、腎6例(4/2)、後腹膜7例(4/3)および中枢神経1例(1/0)であり、涙腺・唾液腺病変は女性に多い傾向であった。3)血清IgG4値と病変領域数は、1領域(血清IgG4=443±390 mg/dl)、2領域(523±441)、および3領域以上(1250±1100)であり、有意差(p=0.011)を認めた。領域別では頭頚部型、全身型で血清IgG4値が高い傾向にあった。またROC解析では、血清IgG4値550mg/dl以上をカットオフ値とすると感度77.8%、特異度80.6%で全身型であった(AUC=0.781)。 4) 肝生検で、IgG4 10/HPFおよびIgG4/IgG1 同等以上(IgG4陽性)を示す頻度は41%(7/17)であり、肝内胆管狭窄例に多かった(p=0.03) 5)唾液腺腫大例におけるIgG4陽性率は顎下腺生検で100%(4/4)であり、口唇生検では66.7%(2/3)であった。また、造影CTにおける両腎の異常陰影陽性例3例全例がIgG4陽性であったが、異常所見陰性1例ではIgG4陰性であった。【結論】IgG4関連疾患は全身性疾患であり、病変分布は症例により異なる。血清IgG4値の高値例では3領域以上の病変領域を有している可能性があり、CT,ガリウムシンチ、PET-CTなどによる全身検索が特に必要であると考えられた。また、肝生検、顎下腺・口唇生検および腎生検は、病変診断に大変有用であると考えられた。
索引用語 IgG4関連疾患, 診断