セッション情報 シンポジウム18(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

IgG4関連疾患の概念と診断

タイトル 消S18-3:

IgG4関連疾患と他疾患の鑑別における至適IgG4カットオフ値の検討

演者 平野 賢二(東京大・消化器内科)
共同演者 多田 稔(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【背景と目的】膵癌とAIPのカットオフ値として求められた135mg/dlが現在IgG4関連疾患全体と他疾患の鑑別のカットオフ値としても広く使用されている。本研究では自験例のAIPと膵癌、慢性膵炎の他に、IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4SC)と胆道癌、PSCの鑑別におけるIgG4の鑑別能、至適カットオフ値の評価を行うことを目的とした。【対象と方法】AIP80例、膵癌131例、慢性膵炎105例、IgG4SC29例(26例にAIP合併あり、下部胆管限局狭窄例は含めず)、胆道癌82例(肝内胆管4例、肝外胆管62例、胆嚢11例、乳頭部5例)、PSC43例を検討対象とした。(1)AIPと膵癌(2)AIPと慢性膵炎(3)IgG4SCと胆道癌(4)IgG4SCとPSC、の鑑別におけるIgG4の鑑別能、カットオフ値をROC解析により評価した。【結果】(1)AIPと膵癌におけるIgG4カットオフ値は133mg/dl、感度96.3%、特異度96.9%、AUC0.983(2)AIPと慢性膵炎ではカットオフ値133mg/dl、感度96.3%、特異度96.2%、AUC0.981(3)IgG4SCと胆道癌ではカットオフ値222mg/dl、感度96.6%、特異度100%、AUC0.990(4)IgG4SCとPSCではカットオフ値222mg/dl、感度96.6%、特異度95.3%、AUC0.966、であった。なおIgG4SCに下部胆管限局狭窄例も含めた場合(64例)でも胆道癌、PSCとのカットオフ値はいずれも220mg/dlであり、下部胆管限局狭窄例を除外した場合と大差は認められなかった。【結論】IgG4関連疾患と他疾患との鑑別に際して、IgG4値は高い鑑別能を有する。しかしながら至適IgG4カットオフ値は鑑別対象である臓器、疾患が何であるかによって異なってくる可能性がある。
索引用語 IgG4関連硬化性胆管炎, 胆道癌