セッション情報 シンポジウム18(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

IgG4関連疾患の概念と診断

タイトル 消S18-4:

IgG4関連硬化性胆管炎の臨床像とCT診断

演者 松崎 晋平(鈴鹿中央総合病院・消化器内科)
共同演者 菊山 正隆(静岡県立総合病院・消化器内科), 河上 洋(北海道大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)は,IgG4関連疾患で膵に次いで頻度の高い疾患であるが,その臨床像は未だ明らかにされていない点が多い.また,自己免疫性膵炎(AIP)を伴わない症例では,画像所見による胆管癌との鑑別は困難とされてきた.今回,IgG4-SCの臨床像を明らかにすること,さらにCT所見による胆管癌との鑑別診断の可能性についてretrospectiveに検討した.【対象】膵外胆管に胆管壁肥厚を有するIgG4-SC 16例,胆管癌10例を対象とした.IgG4-SCは胆管壁肥厚を認め,血清IgG4高値かつ1年以上の経過で悪性胆道疾患が否定された例とした.胆管癌は全例切除検体の病理診断例である.また,膵内胆管病変は膵実質の影響により評価が困難であると考え,除外した.【方法】(A)IgG4-SCの臨床像について,年齢,性別,AIP罹患の有無,IgG4値,ステロイド治療の奏功率を検討した.(B)IgG4-SCと胆管癌のCT所見について,最終診断を知らない放射線科医師が,(1)同心円状の壁肥厚,(2)狭窄部の内腔開存,(3)狭窄部最外層が平滑,(4)造影門脈相での造影増強なし,(5)膵腫大あり,の項目を評価した.陽性所見を1点として,各項目および合計点数を比較した. 【結果】(A)男女比15:1,平均年齢68.4歳(54-79),AIP罹患13例,平均IgG4値 474.9mg/dl(147-1400).ステロイド治療は13例に行い,全例で奏功した.(B)検討項目について陽性症例数/対象症例数はIgG4-SC:胆管癌で,(1)11/16:1/10(p=0.02),(2)7/16:4/10(p=0.85),(3)9/16:4/10(p=0.44),(4)6/16:2/10(p=0.36),(5)6/16:1/10(p=0.13),および合計点数(平均)は2.4点(1-3点):1.2点(0-3点)(p<0.01)であった.すなわち,同心円状の壁肥厚および合計点数で,疾患群に差がみられた.【結語】IgG4-SCは男性に多く,ステロイド治療が有用であった.胆管癌との鑑別においては複数のCT所見を検討し点数化することで鑑別の一助となる可能性が示唆された.
索引用語 IgG4関連硬化性胆管炎, 臨床像