セッション情報 シンポジウム18(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

IgG4関連疾患の概念と診断

タイトル 消S18-5:

IgG4関連疾患における甲状腺機能低下の検討

演者 渡邉 貴之(信州大・消化器内科)
共同演者 伊藤 哲也(信州大・消化器内科), 川 茂幸(信州大健康安全センター)
抄録 【背景と目的】IgG4関連疾患は諸臓器に炎症や線維化をきたす全身性疾患であり自己免疫性膵炎、IgG4関連硬化性胆管炎、涙腺唾液腺炎などを包括する。甲状腺病変がIgG4関連疾患に含まれるかについては一定のコンセンサスは得られていないため、多数症例にて検証した。【対象と方法】1992年から2010年までに当院で経験したIgG4関連疾患 122例(平均年齢65.8歳、男性97例、女性25例)を対象とし、慢性膵炎40例(平均年齢63.8歳、男性33例、女性7例)を比較対象とした。診断時の血液検査でTSH>4.0 μIU/mlまたは診断時にレボチロキシンを内服していた症例を甲状腺機能低下と定義し、1)IgG4関連疾患と慢性膵炎における甲状腺機能低下合併頻度の比較、2)IgG4関連疾患における甲状腺機能低下群でのステロイド導入1ヶ月後の甲状腺機能の変化(7例)、3)IgG4関連疾患における甲状腺機能低下と甲状腺機能正常群との血液検査所見の比較につき検討した。【結果】1)IgG4関連疾患122例中、甲状腺機能低下を24例(男性20例、女性4例)に認め、慢性膵炎40例では甲状腺機能低下は0例であり、IgG4関連疾患では慢性膵炎と比較し高率に甲状腺機能低下の合併を認めた(P=0.0053)。2)IgG4関連疾患における甲状腺機能低下群でステロイド導入1ヶ月後では導入前と比較してTSHの有意な低下を認めた(P=0.018)。ステロイド導入前TSH: 5.86±052μIU/ml、導入後TSH: 3.44±0.71μIU/ml。3)IgG4関連疾患における甲状腺機能低下群では甲状腺機能正常群と比較し、IgG4 (P=0.070)、IgG (P=0.125)、Immune complex (P=0.062)、β2ミクログロブリン (P=0.082)が高い傾向にあり、C3は有意に低値であった (P=0.034)。【考察】甲状腺機能低下症はIgG4関連疾患に包括されると考えられ、活動性マーカとの相関より、活動期の病態を反映している可能性が示唆された。
索引用語 IgG4関連疾患, 甲状腺機能低下症