セッション情報 シンポジウム18(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

IgG4関連疾患の概念と診断

タイトル 消S18-6:

IgG4関連消化管病変の検討

演者 桑田 剛(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科)
共同演者 神澤 輝実(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 小泉 浩一(がん・感染症センター都立駒込病院・内視鏡科)
抄録 (目的)自己免疫性膵炎は、種々の硬化性の膵外病変を高率に合併し、IgG4が関連する全身性硬化性疾患と考えられている。欧米で報告されているType 2の自己免疫性膵炎では潰瘍性大腸炎がしばしば認められるが、本邦のType 1では潰瘍性大腸炎の合併は少ない。IgG4が関連する消化管病変を明らかにするため、自己免疫性膵炎患者の消化管病変と潰瘍性大腸炎におけるIgG4陽性細胞浸潤について検討した。(方法)対象は自己免疫性膵炎46例。十二指腸主乳頭と上部消化管内視鏡所見(45例)および、十二指腸乳頭部(27例)、十二指腸粘膜(28例)、胃粘膜(33例)、大腸粘膜(10例)、回腸粘膜(4例)の切除ないし生検組織のIgG4免疫染色によるIgG4陽性形質細胞浸潤程度(10個以上/強拡大を陽性)を検索した。さらにステロイド治療歴のない潰瘍性大腸炎31例の大腸生検組織で同様に検討した。(結果)1:自己免疫性膵炎では、十二指腸乳頭部腫大を10例(22%)、胃潰瘍を1例(2%)に認め、潰瘍性大腸炎の合併は2例(32歳男性 血中IgG4 45mg/dl、45歳男性 血中IgG4 180mg/dl)だった。2: IgG4陽性形質細胞の浸潤を主乳頭56% (15/27)、十二指腸粘膜4% (1/28)、胃粘膜21% (7/33)、大腸粘膜30% (3/10)、回腸粘膜0% (0/4)に認めた。主乳頭浸潤例は膵頭部に病変があり、胃粘膜浸潤陽性例は血中IgG4高値例が多く、大腸粘膜浸潤陽性の1例は潰瘍性大腸炎だった。消化管粘膜に著しい線維化や閉塞性静脈炎は認めなかった。3: 潰瘍性大腸炎では、IgG4陽性形質細胞浸潤を12例(39%)に認めた。浸潤陽性例と非陽性例で、年齢(44.2±13.1 vs. 49.1±15.8歳)、性別 (男/女: 7/5 vs. 11/8)、病型(直腸炎/左側結腸炎/全結腸炎/特殊型: 3例/5例/4例/0 vs. 4例/5例/8例/2例)、内視鏡的重症度(軽度/中等度/強度:4例/8例/0 vs. 3例/15例/1例)に差が無かった。(結語)自己免疫性膵炎の消化管にはIgG4陽性形質細胞の浸潤以外に明らかな所見は認められなかったが、潰瘍性大腸炎とIgG4との関連に関してはさらなる検討が必要である。
索引用語 IgG4, 大腸