セッション情報 シンポジウム18(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

IgG4関連疾患の概念と診断

タイトル 消S18-8:

IgG4関連疾患の動脈周囲病変の画像病理学的検討

演者 井上 大(富山県立中央病院・放射線科)
共同演者 全 陽(金沢大附属病院・病理部), 松井 修(金沢大・放射線科)
抄録 【目的】IgG4関連疾患のCT所見を明らかにすること。【方法】動脈周囲病変を有するIgG4関連疾患患者17例(男性 16例、女性 1例、年齢;54~86歳;平均年齢 65歳)を対象にし、動脈周囲病変のCT所見を解析した。動脈周囲病変から直接組織の得られた症例についてはCT所見と病理所見を対比した。また炎症性大動脈瘤として手術を施行された4例についてはCT所見と病理所見での大動脈の層構造との対比を行った。【結果】17例の症例で22病変が同定された。病変分布は胸部大動脈 (n=4)、腹部大動脈~腸骨動脈(n=13)、上腸間膜動脈(n=3)、下腸間膜動脈(n=1)、脾動脈(n=1)であった。CT所見の特徴は動脈壁の肥厚 (平均11 mm)、多くは全周性に見られ、周囲脂肪組織との境界は明瞭、罹患血管内腔径は不変(n=15)、拡張(n=6)、狭窄(n=1)であった。14例で非罹患部に比較して軽度~高度の動脈硬化性変化(石灰化、壁在血栓)が見られた。病変は造影CTの後期相にて均一に濃染され、動脈相では病変内を横切るように腰動脈や下腸間膜動脈といった細動脈が観察された。炎症性大動脈瘤症例でも病変の主座は外膜にあり、造影CTにて層構造が認識可能であった。血管外病変は12例(74%)で認めた。病理学的には病変部は密なリンパ球、形質細胞浸潤がみられ、不均一な線維化を伴っていた。浸潤形質細胞は高率にIgG4陽性であった。病変は主に罹患動脈の外膜に主座を有していた。8例でステロイド治療が施行され、病変は縮小した。また、無治療で経過観察を行った1例についても経過で縮小が見られた。【結論】IgG4関連疾患の動脈周囲病変は主に大動脈及びその大分枝に生じる。動脈の外膜への炎症細胞浸潤と線維化を反映し、CT所見では後期相にて均一な濃染を呈する、動脈壁の肥厚が特徴である。
索引用語 IgG4関連疾患, 動脈周囲病変