セッション情報 |
シンポジウム18(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
IgG4関連疾患の概念と診断
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タイトル |
消S18-9:自己免疫性膵炎の診断における閉塞性静脈炎の特徴と定義
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演者 |
宮部 勝之(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学) |
共同演者 |
能登原 憲司(倉敷中央病院・病理検査科), 中沢 貴宏(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学) |
抄録 |
【背景】タイプ1自己免疫性膵炎は、lymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis (LPSP)と呼ばれる特徴的な病理像を呈する。閉塞性静脈炎はLPSPの診断の上で重要な所見とされるが、その明確な定義はなされていない。【目的】LPSPに特徴的な閉塞性静脈炎の特徴を明らかにすること。【対象】膵切除または開腹生検を施行した18例のLPSP 症例と45例の膵管癌(PDA)症例の組織標本。【方法】各症例の代表的なブロックを選択しHE染色、EVG染色を行い検討した。静脈内腔が炎症細胞または線維化により狭窄あるいは閉塞する所見をobliterative venous lesion (OVL)と定義し、OVLをさらにType 1:若干の間隙をもってリンパ球形質細胞浸潤と線維化がみられるもの、Type 2:均一な線維化と少量のリンパ球形質細胞浸潤を認めるもの、Type 3:密度の高いリンパ球形質細胞浸潤のみで、線維化は伴わないもの、に分類した。また、単位面積当たりのOVL数、静脈径を計測し評価した。【結果】全64症例のOVLをまとめて集計すると、OVL Type 1/ Type 2/ Type 3の割合は、LPSP群にて79.8%/ 11.1%/ 9.1%、PDA群にて7.2%/ 72.1%/ 20.7%であり、LPSP群では有意にType 1が多くみられた(P<0.0001)。Type 1 OVLはLPSP群の全症例にみられたが、PDA群の18例(40%)にもみられた。Type 1 OVLの1cm2当たりの個数中央値はLPSPにて4.4cm2、PDAにて0.0cm2であり、またType 1 OVLがみられる症例における、Type 1病変の最大径中央値はLPSPにて270.6μm、PDAにて96.7μmとなり、いずれも2群間で有意差がみられた(P<0.0001)。150μm以上のType 1 OVLは17例のLPSPに存在し、この所見をLPSPと診断した場合、感度94.4%、特異度97.8%であった。【結論】LPSPに特徴的なOVLはType 1で、特に150μm以上の静脈径にみられると特異性が高い。 |
索引用語 |
自己免疫性膵炎, 閉塞性静脈炎 |