セッション情報 シンポジウム20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

消化器内視鏡検査・治療時の麻酔薬/鎮静薬使用のエビデンス-診療ガイドライン作成を目指して≪アンサーパッド≫

タイトル 内S20-1:

BISモニターを併用したpropofolによるsedation:無作為化臨床第II相試験(KDOG0801)の結果に基づいた高齢者における有効性と安全性の検討

演者 佐々木 徹(北里大東病院・消化器内科)
共同演者 田辺 聡(北里大東病院・消化器内科), 東 瑞智(北里大東病院・消化器内科)
抄録 【目的】胃腫瘍に対して内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)を行う際に、midazolamと比較してpropofolによるsedationが有効性・安全性で優れていることを第79回日本消化器内視鏡学会総会にて報告した(内視鏡治療におけるmidazolamとpropofolの無作為化前向き臨床第II相試験:KDOG 0801,PD2-5)。しかし高齢者でもpropofolは安全かつ有効な鎮静剤であるかについては十分に検討されていない。【方法】臨床試験に参加した70歳以上の症例を高齢者とし,有効性と安全性についてmidazolamとpropofolとの間で比較検討した。【成績】全参加者178人中70歳以上は99人、midazolam群(M群)51人、propofol群(P群)48人であった。BISモニターは両群で併用した。治療時間(分)はM群:70.9±31.4,P群:83.6±40.3でP群において延長している傾向があった (p=0.081)。有効性に関しては、治療中に用手的な体動抑制を必要とした症例は、M群:9例、P群:5例(p=0.30)、全治療時間においてRASS:-5から-3の鎮静が得られた症例は、M群:36例、P群:38例(p=0.33)と有意差は認められなかった。また治療中の安全性に関しては、低血圧症(sBP<90mmHg)がM群:18例、P群:12例(p=0.266)、徐脈(PR<50)がM群:12例、P群:12例(p=0.86)、低酸素血症(SpO2<94%)がM群:10例、P群:10例(p=0.88)と2群間で有意差は認められなかった。帰棟時に意識清明(RASS:0)であった症例は、M群:18例、P群:32例で有意にP群で早期覚醒が得られていた(p=0.0018)。【結論】propofolによるsedationはmidazolamを使用した従来法と比較し、高齢者においても治療中の有効性・安全性には有意差がなく、かつ治療後の早期覚醒に優れていた。
索引用語 sedation, ESD