セッション情報 |
シンポジウム20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
消化器内視鏡検査・治療時の麻酔薬/鎮静薬使用のエビデンス-診療ガイドライン作成を目指して≪アンサーパッド≫
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タイトル |
内S20-2:鎮静下における患者の適切な観察法 ―関連論文レビューからの考察―
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演者 |
入澤 篤志(福島県立医大・会津医療センター準備室) |
共同演者 |
小原 勝敏(福島県立医大附属病院・内視鏡診療部) |
抄録 |
鎮静下での医療手技における偶発症発生は非手術室においては手術室の2倍とされており、内視鏡施行中における致死的偶発症は心肺イベントが最も重要である。すなわち、通常の内視鏡室における内視鏡手技に際しては、呼吸循環モニタリングは必須であり、このような事を十分に理解しておく事は鎮静下における適切な患者観察につながる。今回、鎮静下における患者の適切な観察法に関する論文をレビューし、その概略を呈示する。 基本的な観察項目は、1)脈、2)血圧、3)呼吸状態、4)心電図、5)神経学的徴候、である。【呼吸系観察】パルスオキシメーターは的確に低酸素血症を数値化してモニタリングできるため重要な呼吸モニターの1つとされているが、酸素飽和度の観察だけでは患者の呼吸状態(換気状態)を正確に把握する事は困難であり、また、鎮静の深さが増すほど換気状態を正確に観察する事が不可欠となるため、パルスオキシメーターに加えてカプノグラフィーによる炭酸ガスモニター、そして直接的な呼吸状態観察(視診、聴診)を行浮ことが推奨されている。【循環系観察】心電図による心拍数、不整脈や虚血のモニタリング、および血圧測定が重要である。特に、対象が呼吸循環器系の疾患を持つ患者の場合や、検査時間が長くなる場合の持続監視は米国麻酔学会のガイドラインでも推奨されている。また、多くの降圧薬は鎮静剤と相乗作用を持つため、高血圧患者に対する鎮静下のモニタリングに関してはこの点も十分な理解が必要である。 上記を踏まえたモニタリングは重要であるが、内視鏡手技を行う際には、術者以外の者が適切に患者状態を把握して対処できるよう人員配置を行う必要がある。さらに、患者監視モニターはわずかながらのタイムラグは存在するため、鎮静下における観察においては、機器によるモニタリングに加えて、直接的な患者観察も非常に重要である事は忘れてはならない。 |
索引用語 |
モニタリング, 鎮静 |