セッション情報 |
シンポジウム14(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)
機能性消化管障害の病態と治療
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タイトル |
消S14-1:過敏性腸症候群における内臓刺激時の局所脳活動と神経内分泌反応に対するcorticotropin-releasing hormoneの増強作用
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演者 |
田中 由佳里(東北大大学院・行動医学) |
共同演者 |
金澤 素(東北大大学院・行動医学), 福土 審(東北大大学院・行動医学) |
抄録 |
【目的】過敏性腸症候群(IBS)ではストレスの鍵物質であるcorticotropin-releasing hormone(CRH)が病態に深く関わっているとされる。我々は、CRHが内臓知覚過敏を誘発し、健常者へのCRH負荷はIBS類似の内臓刺激下局所脳活動を呈したと報告した。そこで、CRH投与によりIBS患者はこれらの異常反応を呈するという仮説を検証した。【方法】対象は健常男性16名、IBS男性16名である。ランダムにCRH投与群(健常者、IBS共にn=8)とplacebo投与群(健常者、IBS共にn=8)に分け比較した。直腸にバロスタットバッグを留置し、偽(0mmHg)、低度(20mmHg)、高度(40mmHg)大腸伸展刺激をランダムに加えた。更にCRH 2μg/kgあるいは生理食塩水(placebo)を静注し、同様の刺激を加えた。刺激毎にH215Oを静注し、PETによる局所脳血流量を測定した。各刺激時に血中ACTH、cortisolを測定した。得られた画像はSPM8で分析した。【成績】IBSにおいて、CRHは40mmHg刺激時に左海馬傍回、右島をplaceboに比し有意に賦活した(p<0.001)。IBSへのCRH投与は健常者のCRH投与に比して、40mmHg刺激時の左前帯状回の活動が有意に高かった(p<0.001)。血中ACTH値は、健常者・IBSとも有意な薬物(CRH vs.placebo、p<0.02)、刺激(0,0,20, vs.40 mmHg、p<0.05)、薬物×刺激交互作用(p<0.05)を示した。血中cortisol値も類似の動態を示した。【結論】IBSでは内臓刺激と血中CRH上昇が加重された時のACTH分泌は健常者と同等であるが、島、帯状回など内臓知覚と陰性情動に関する局所脳賦活を認めた。 |
索引用語 |
過敏性腸症候群, 機能性消化管障害 |