セッション情報 シンポジウム20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

消化器内視鏡検査・治療時の麻酔薬/鎮静薬使用のエビデンス-診療ガイドライン作成を目指して≪アンサーパッド≫

タイトル 内S20-6:

胃ESDの際の鎮静における持続propofol投与の導入-learning curveおよびBIS monitorのインパクト-

演者 山形 拓(仙台市医療センター仙台オープン病院・消化器内科)
共同演者 平澤 大(仙台市医療センター仙台オープン病院・消化器内科), 藤田 直孝(仙台市医療センター仙台オープン病院・消化器内科)
抄録 【背景】propofol(以下Pro)は半減期が短く,持続投与可能で,鎮静深度の維持に優れかつ覚醒も良好である. ESDには長時間の安定した鎮静が望ましく,Pro持続投与は有用と考える.一方,安全面からProの敷居は高く,一般化されているとは言い難い.【目的】安全なPro導入法を考案する.【対象】胃ESDの鎮静剤としてPro導入時の連続25例を導入群(05.9-05.11),約300例のPro鎮静経験後の連続25例を習熟群(07.12-08.2),BISを指標に鎮静を行った連続25例をBIS群(08.3-08.5)とした.【方法】各群の1.Pro投与量、2.呼吸循環抑制、3.苦痛に伴う体動回数を調査し,習熟やBISが呼吸循環抑制や患者苦痛の改善に寄与したかを考察した.呼吸抑制はSpO2 <90%,循環抑制はsBP<90mmHgと定義した.【鎮静】Proは1-5mg/kg/hrで持続投与し,鎮痛剤にペンタゾシンを用いた.鎮静深度は血圧,酸素飽和度,苦悶表情を目安としてmoderate-deep sedationに調節した.BIS群は上記の目安を用いずBIS値60-75で調節した.【術中管理】心電図,自動血圧計,パルスオキシメータを用いた.全例非挿管下で行い,誤嚥予防にオーバーチューブ,血栓症予防に間欠的下肢圧迫装置を用いた.【結果】1.導入群/習熟群/BIS群は各々434mg/ 281mg/ 341mgであった(p<.01 習熟群vs導入群).2.呼吸抑制は各々24%/4%/4%(p=.04 導入群vs習熟群,BIS群),循環抑制は36%/0%/0%であった.呼吸抑制の75%(6/8),循環抑制の56%(5/9)は鎮静開始10分以内にみられた.3.体動回数は習熟群1.8回,BIS群3.8回であった(p<.001).【考察】ESD時のPro鎮静は経験により,安全面の改善がみられた.Pro導入期には鎮静開始時に過鎮静になる傾向があると推測した.BISによる鎮静管理は,習熟された鎮静管理と同等に安全であったが,体動が多くみられた.BISで示される値と実際の鎮静深度にタイムラグがあるためと考えた.【結語】習熟後のBISは必須ではないものの,Pro鎮静を胃ESDに導入する際はBISを指標とすることで呼吸循環抑制の減少が期待できると考える.
索引用語 propofol, ESD