セッション情報 シンポジウム20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

消化器内視鏡検査・治療時の麻酔薬/鎮静薬使用のエビデンス-診療ガイドライン作成を目指して≪アンサーパッド≫

タイトル 内S20-8:

検診上部内視鏡における塩酸ペチジン主体sedationの有用性

演者 光島 徹(亀田メディカルセンター幕張・消化器科)
共同演者 金 潤哲(亀田メディカルセンター幕張・消化器科), 和田 亮一(亀田メディカルセンター幕張・消化器科)
抄録 【目的】検診上部消化管内視鏡 (screening esophago-gastro-duodenoscopy:以下SEGDS)における塩酸ペチジン主体sedationの有用性を評価する。
【対象】対象は2010年1月から12月までに我々の人間ドックSEGDSを受診した男性8,368名、女性5,651名、計14,019名。内訳は一般人間ドック(以下一般)13,359名、会員制高級人間ドック(以下会員)660名。
【方法】sedationは、一般には原則として塩酸ペチジン35mgのみを投与した。会員には、塩酸ペチジン35mgにミダゾラム1~2.5mgを追加した。また全例に、8%リドカインスプレーによる咽頭麻酔を実施した。sedationの効果判定には、受診者の咽頭反射の程度(苦痛度)を (-):全く反射なし、(+):挿入時のみ1~2度反射あるも苦しくない、(++):挿入時以外にも反射があって苦しかった、(+++):反射が強く次回は受診をためらう程苦しかった、の4段階に分け、検査医と内視鏡技師が判定した。
【結果】一般の苦痛度は、(-)74.1%、 (+)22.0%、(++)3.5%、(+++)0.4%であった。会員の苦痛度は、(-)94.0%、(+)4.5%、(++)1.3%、(+++)0.2%であった。
【考察・結論】上部内視鏡の際の過度の咽頭反射は、時として大量出血など重篤な偶発症をひき起こす。我々の経験では、sedationせず咽頭麻酔だけで、反射を抑制することは困難である。我々は1990年10月の開設以来、反射を抑えるために塩酸ペチジン主体のsedationを実施してSEGDSを実施している。今回の検討で示されたように、塩酸ペチジン35mg静注のみのsedationでも苦痛度(-)74.1%、 (+)22.0%と、大部分の受診者にほとんど苦痛なくSEGDSを実施することができた。またミダゾラム1~2.5mgを追加することで、(-)94.0%、(+)4.5% と、ほぼ完璧に反射を抑制することができた。ところでミダゾラムは、単独で投与すると受診者が興奮して体動が起こるなど、危険性が高い。肝心の反射抑制効果も弱い。我々が塩酸ペチジン主体のsedationを推奨する所以である。真に有効なsedation方法を確立する一助として、我々の経験を紹介する。
索引用語 上部消化管内視鏡, sedation