セッション情報 |
シンポジウム20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
消化器内視鏡検査・治療時の麻酔薬/鎮静薬使用のエビデンス-診療ガイドライン作成を目指して≪アンサーパッド≫
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タイトル |
消S20-9:上部消化管内視鏡検査時の鎮静剤midazolamおよびdiazepam投与における年齢の影響
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演者 |
岡 政志(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科) |
共同演者 |
上田 和樹(和歌山県立医大・2内科), 一瀬 雅夫(和歌山県立医大・2内科) |
抄録 |
【はじめに】上部消化器内視鏡の患者背景は社会の高齢化を反映し、我々の施設において70才以上は37.5%を占めるほどとなっている。また苦痛のない内視鏡への要望は強く、当院では、上部消化管内視鏡においても過半数の患者に静脈麻酔によるsedationを施行している。薬剤の違いを検討するため、高齢者における内視鏡検査のsedationの影響について、特に良く使用されている、diazepamとmidazolamについて検討した。【対象と方法】平成16年1月以降において当院で上部消化管内視鏡を施行した1177症例1645検査を対象とした。当院では静脈麻酔は患者希望により施行しており、患者の全身状態,肝・腎機能を考慮した上で、通常2.5mgから静注し、必要に応じて追加している。いずれの薬剤を使用するかは患者希望その他の条件によって決められている。検査終了後は観察室において麻酔が切れるまで安静臥床し、自立歩行が可能であることを、スタッフが確認してから帰宅する。検査開始時から帰宅時までの時間を麻酔時間とし、年齢および薬剤の種類・量との相関を検討した。【結果】各薬剤とも、麻酔時間は年齢とともに長くなる傾向があり、midazolamでは70才未満で平均1:58±0:41、70才以上で2:21±1:01(p<0.01)、diazepamでは70才未満で平均1:55±0:53、70才以上で平均2:00±0:42(p=0.476)であった。薬剤の投与量と麻酔時間の関係では、midazolamでは69才以下では相関係数r=-0.1452に対して70才以上では0.7142(p<0.01)と投与量と麻酔時間に強い相関が見られた。Diazepamでは70才以上と69才未満では相関係数に有意差は認められなかった。【考察】投与量を増すと麻酔時間は一般に延長すると考えられるが、若年者では麻酔時間は投与量と必ずしも関係がない。しかし、70才以上の高齢者では、両薬剤、特にmidazolamは投与量が増すにつれて、麻酔時間が著しく延長する。高齢者においては、麻酔が効かない場合に安易に増量するのは危険である。 |
索引用語 |
sedation, midazolam |