セッション情報 シンポジウム20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

消化器内視鏡検査・治療時の麻酔薬/鎮静薬使用のエビデンス-診療ガイドライン作成を目指して≪アンサーパッド≫

タイトル 内S20-12:

当院におけるsedation下の大腸内視鏡検査の安全管理について

演者 西 陽子(松島クリニック)
共同演者 鈴木 康元(松島クリニック), 西野 晴夫(松島クリニック)
抄録 【目的】快適かつ安全な大腸内視鏡検査(TCS)の実施には、鎮痛薬/鎮静薬を使用したsedationが有用である。しかし、sedationは偶発症などの安全管理が難しいとされ、実施しない施設も多い。当院では1987年の開院時より、TCSのほぼ全例で塩酸ペチジンおよびミダゾラムまたはジアゼパムによるsedationを実施しており、現在では年間約2万件のTCSを行っているが、過去24年間重篤な偶発症は全く経験していない。そこで、如何にすればsedation下のTCSを安全に実施できるかについて、当院で行っている工夫点を紹介する。【工夫点】1) 独立したユニットでの検査:4室の内視鏡室はそれぞれ機能的に独立し、各室で緊急時の対応・処置ができるようになっている。2) 専任のスタッフ:経験を積んだ内視鏡医が検査を施行すると共に、各ユニットに配置された看護師が常に受診者の状態を観察し、異常の早期発見と迅速な対応に努めている。3) 内視鏡報告書:sedationの種類・量・効果、使用スコープの機種、挿入時間、腸管洗浄度、癒着や検査時の苦痛の有無などを記録している。4) 内視鏡被検者個人表:既往症、過去のTCS時の前処置法・バイタルの変化・sedationからの回復状況などを記録している。そして3)、4)を内視鏡被検者情報として管理し、次回TCS時のsedationの種類・量、前処置法、使用スコープの機種の決定に役立てている。5) ストレッチャーでの移動:TCS前からTCS終了後離床するまで被検者をストレッチャー上のまま移動させることで、転倒事故の予防に努めている。なおTCS終了後から離床までの安静時間は当院での検討結果から約40分間としているが、覚醒が不十分な場合は安静時間を延長している。【結語】上記のような安全管理に対する工夫により、sedation下でもTCSを安全に行うことが可能となっている。なおsedationには、被検者の苦痛や精神的負担を緩和させる効果だけでなく、施術者にとっても内視鏡検査に集中しやすくなる効果があるため、sedationの使用は安全で確実なTCSにもつながるものと期待される。
索引用語 大腸内視鏡, sedation