セッション情報 シンポジウム20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

消化器内視鏡検査・治療時の麻酔薬/鎮静薬使用のエビデンス-診療ガイドライン作成を目指して≪アンサーパッド≫

タイトル 内S20-13:

当科における上部消化管内視鏡検査時のsedationに現状について

演者 白枝 久和(金沢医大・消化器内科)
共同演者 福山 智基(金沢医大・消化器内科), 有沢 富康(金沢医大・消化器内科)
抄録 内視鏡検査・治療時の苦痛を軽減するsedationの施行は患者のみならず、施行医の正確な診断、的確な処置を行う上で手助けとなりうる。しかし、sedationは呼吸、循環系などへの影響が強く、偶発症を引き起こすことも少なくない。またsedationは治療内視鏡時には使用される事が多いが、ルーチン検査時の施行には施設、施行医によりばらつきがあるのが現状である。今回、我々は当科におけるルーチン上部消化管内視鏡検査時のsedationの現状について検討したので報告する。2010年1月~2010年12月まで、当科で行ったルーチン上部消化管内視鏡検査2098例を対象にした。sedation施行例は全例で文書同意を得た。検査中はパルスオキシメーターでSpO2,心拍数の経時的なモニタリングを行い、血圧に関しては内視鏡検査前後で測定し、検査中は施行医の判断で適宜行った。sedationに使用する薬剤・量の決定は検査施行医が患者の状況などから最終決定した。sedation施行例では3時間以上、看護師管理下で床上での経過観察とした。sedation施行群は1287例(61.3%)で、内訳は男性667例、女性620例で年齢は17~90歳で平均年齢62.6歳であった。平均検査施行時間は14分25秒であり、sedation未施行群と比し有意差はなかった。使用薬剤はDiazepam(DZP) 1269例(平均7.6mg)、Midazolam(MDZ) 10例(平均5.9mg)、Pentazocine 3例(全例15mg)、DZP+MDZ 3例、DZP+Pentazocine 2例であり、合併症はSpO2:92以下の低酸素が16例(1.2%)に認められ、酸素投与が必要な症例は5例(0.39%)であった。低酸素を認めた症例は全例にFlumazenilを投与し症状の改善を確認、重篤化した症例は無かった。その他、循環器系、アレルギー等の合併症は見られなかった。以上の検討より、ルーチン検査においてのsedationも使用薬剤、使用量の決定を適切に選ぶことにより比較的安全に施行できると考えられた。
索引用語 sedation, 上部消化管内視鏡