セッション情報 シンポジウム21(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

内視鏡検査および処置・治療時における抗血小板薬、抗凝固薬使用ガイドラインの作成を目指して≪アンサーパッド≫

タイトル 内S21-1:

内視鏡検査・処置・治療時の抗血栓薬使用ガイドライン━神経内科医の立場から━

演者 内山 真一郎(東京女子医大・神経内科)
共同演者
抄録 脳卒中予防のため抗血栓薬を投与している患者では、内視鏡検査・処置・治療時の抗血栓薬継続投与による消化管出血のリスクと、抗血栓薬投与中止による脳卒中の発症リスクを勘案して継続するか中止するかを決定する必要がある。抗血栓薬による消化管出血のリスクは内視鏡手技の侵襲度、すなわちhemostatic challengeのマグニチュードに依存するので、検査・生検・治療により個別に考慮する必要がある。一方、脳卒中のリスクは、脳卒中の既往・病型・危険因子の種類と重複度・病期により異なるので、これらのリスクを勘案して層別化し、投与の継続・中止の可否を決定する必要がある。抗血栓薬の消化管出血リスクは抗血栓薬の種類や組み合わせにより異なり、抗凝固薬は抗血小板薬よりリスクが高く、抗血小板薬の二剤併用は単剤よりリスクが高く、抗血小板薬と抗凝固薬の併用は最もリスクが高い。抗血栓薬の可逆性も休薬すべき期間に影響し、シロスタゾールのような可逆的な抗血小板薬はアスピリンやチエノピリジンのような不可逆的な抗血小板薬より影響が小さく、可逆的な抗凝固薬であるダビガトランはワルファリンより休薬期間が少なくて済む。したがって、消化器内視鏡手技を必要とするような消化器疾患が存在し、脳卒中予防のため抗血栓薬の適応がある患者では、このような抗血栓薬の特性も薬剤選択に考慮しておく必要がある。経口抗凝固薬を中止しなければいけない脳卒中高リスク患者ではへパリン化が行われるが、へパリンは抗血小板薬の代替薬にはなりえない。一般的に、強力な抗血栓療法を施行している患者ほど脳卒中リスクが高い。すなわち、脳卒中の高リスク患者ほど消化管出血のリスクも高いといえる。このような患者では抗血栓療法の有効性と安全性のどちらを重視するかが課題である。しかしながら、ひとたび脳卒中を発症してしまったら、恒久的な後遺症を残す危険性があるが、消化管出血は後遺症なく輸血による対処が可能なことを考慮すべきであろう。
索引用語 抗血栓療法, 脳卒中