セッション情報 シンポジウム21(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

内視鏡検査および処置・治療時における抗血小板薬、抗凝固薬使用ガイドラインの作成を目指して≪アンサーパッド≫

タイトル 内S21-3:

通常消化管内視鏡検査および粘膜生検における抗血小板薬、抗凝固薬の対応

演者 加藤 元嗣(北海道大病院・光学医療診療部)
共同演者 樋口 和秀(大阪医大・2内科)
抄録 抗血栓薬使用者に対する消化管内視鏡検査・治療では、抗血栓薬による出血リスクと休薬による血栓リスクの両方に配慮する必要がある。内視鏡の手技によって出血リスクが異なるのと同様に、患者の病態によって血栓リスクが異なるため、内視鏡医と抗血栓薬の処方医とで個々の患者における最良の方法を選択することが重要である。現在検討中の「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」について報告する。通常消化管内視鏡検査および粘膜生検においては、アスピリンを含む抗血小板薬、抗凝固薬のいずれも休薬なく施行可能であるとした。粘膜生検では抗血栓薬服薬の有無に関わらず、胃では0.002%、大腸では0.09%に出血が合併する。健常人を対象とした無作為化試験や後ろ向きの臨床成績では、抗血小板薬継続下の生検によって出血は増加するとの成績は示されていない。また、ワルファリン内服者でINRが治療域内に留まっている場合には、生検後出血の増加はないとの成績がある。従って、ワルファリンの服用時は、INRが3.0以下であることを確認して生検検査をする。また、2剤以上を服用している場合には慎重に対応する。抗血栓薬の継続時での生検検査では、必要最小限の生検に留めること、止血が得られていることを確認して内視鏡を抜去すること、止血が得られない場合には止血処置を行うことなどの注意が必要である。
索引用語 内視鏡検査, 抗血栓薬