セッション情報 |
シンポジウム22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
ERCP関連手技による合併症とその予防
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タイトル |
内S22-2:ERCP後膵炎の危険因子と予防のための新しい機器開発について
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演者 |
今津 博雄(東京慈恵会医大・内視鏡科) |
共同演者 |
池田 圭一(東京慈恵会医大第三病院・内視鏡部), 田尻 久雄(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科) |
抄録 |
【目的】当科におけるERCP後膵炎(PEP)予防を目指した新しい機器開発についてfeasibility studyの結果を報告する。【方法】当科におけるERCP1230症例を対象にPEPを起こす危険因子を、多変量解析を用いて検討したところ、1回以上の膵管造影が最も有意な因子として抽出された(オッズ比5.67)。すなわち、不用意な膵管造影をなくし、選択的胆管挿管を容易にすることでPEPを予防できる可能性がある。我々はこの目的で先端形状を加工したOffset-tip papillotome(OT)(KD-411Q-0720)を考案し、オリンパスと共同開発を行っている。また同目的でマルチベンディングERCPスコープ(Mスコープ)(TJF-Y0011)の評価を行っている。【成績】(Offset-tip papillotome)胆管関連のERCP関連手技を行ったOT群40例とStandard-tip catheter(ST群)45例の後ろ向き比較試験では、PEPの発生率に有意差は認められなかったが、膵管造影の回数と深部胆管挿管までの時間が有意にOT群で少なかった(0.56 vs. 1.6回、103 vs. 287秒)。(Mスコープ)ERCP胆管関連手技20例に用いたが、19例で手技(EBD,EST,胆管鏡)が完遂できた。うち1例はB-I術後胃の総胆管結石症例で、通常スコープ(JF-260V)ではカニュレーション困難であり、Mスコープに交換しESTを行った。膵癌十二指腸狭窄の1例ではMスコープで下行脚に挿入できず、JF-260Vに交換し、EBDを行った。胃・十二指腸モデルを用いた机上実験と実際の臨床例では第2湾曲の使用で乳頭との距離を保ちながら見上げのポジションをとれることがMスコープの特徴であった。B-I症例など乳頭との距離がとり難い症例での有用性が示唆された。19例でのPEPの発生はみられなかった。【結論】不用意な膵管造影はPEPを引き起こす。膵管造影を減らし、胆管挿管を容易にさせる機器がPEPを予防しうる可能性があり、Offset-tip papillotomeやMスコープは、改良すべき点はあるがこの目的に答えられる新しい機器と考えられる。 |
索引用語 |
ERCP後膵炎, 機器開発 |