セッション情報 シンポジウム22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

ERCP関連手技による合併症とその予防

タイトル 内S22-3:

ERCP後膵炎(PEP)発症の危険因子と危険因子に伴う膵炎発症の予測確率

演者 明石 隆吉(熊本地域医療センター・ヘルスセンター)
共同演者 中原 和之(熊本地域医療センター・内科), 清住 雄昭(熊本地域医療センター・内科)
抄録 【目的】PEP発症の危険因子と発症の予測確率を単一施設のProspectiveデータにより検討する。【方法】対象は2008年9月から2010年3月迄のERCP施行例。性別、年齢、BMI、ESTの既往、蛋白分解酵素阻害剤の使用、検査時間、カニュレーション回数、膵管造影、IDUS、胆管生検、胆汁細胞診、胆管ブラシ細胞診、膵液細胞診、膵管ブラシ細胞診、EST、Precut、EBD、non-EST/EBD、膵管ステント留置、膵管ガイドワイヤーを検討因子として、PEP発症の危険因子と発症の予測確率を統計学的に解析する。【成績】対象は897例(M:F=511:386, 20~105歳、平均72歳、中央値75歳)その内訳はERCP162例、EST171例 (Precut10例)、切石271例、胆道ステント460例、IDUS 19例、生検・細胞診69例、その他39例(重複あり)であった。PEPの頻度は3.6% (32/897)であり、2008年9月から2009年8月迄では4.8%(25/526)、2009年9月から2010年3月迄では1.9%(7/371)であった。膵炎の重症度は軽症25例、中等症3例、重症4例で死亡例は認めなかった。多変量解析の結果では検査時間(p<0.0001)とnon-EST/EBD・膵管造影(p=0.0009)がPEP発症に関する有意な危険因子であった。膵炎発症の予測確率は、検査時間15分以上で3%(感度65.6%、特異度65%)であり、検査時間15分以上・non-EST/EBD・膵管造影では2%(感度87.5%、特異度67.2%)であった。【結論】検査時間は15分以内に止めることが望ましい。non-EST/EBDや膵管造影を施行した場合には、検査時間にはさらなる注意を要する。
索引用語 ERCP後膵炎, 危険因子