セッション情報 シンポジウム22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

ERCP関連手技による合併症とその予防

タイトル 内S22-4:

ERCP関連手技における二酸化炭素(CO2)送気の有用性

演者 和唐 正樹(香川県立中央病院・消化器内科)
共同演者 稲葉 知己(香川県立中央病院・消化器内科), 河合 公三(香川県立中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】ERCP関連手技において、二酸化炭素(CO2)送気が、術後の症状及び偶発症の抑制に有用か否かを検討する。【対象・方法】2010年1月から12月の間、当院で施行したERCP関連手技症例248例のうち、呼吸機能低下等の除外症例を除く連続した218例を通常送気群(通常群)とCO2送気群(CO2群)の2群に分けて検討した。1)処置の成功率、2)盲目的に3段階評価した検査前後の腸管ガス像、3)腹痛・腹満感・嘔気のVAS評価、4)検査後24時間の嘔吐及びMetoclopramideの使用の有無、5)検査中の鎮静剤の使用量、6)術中の呼吸循環動態の変化、偶発症を検討した。【成績】症例数は通常群113例、CO2群105例。男女比は通常群が57:56でCO2群が58:47、平均年齢は通常群が73.0±10.5歳でCO2群が69.9±13.6歳といずれも差を認めなかった。また、原因疾患や処置内容に差を認めなかった。1)成功率は通常群101/113(89.3%)、CO2群97/105(92.3%)と差を認めず、2)ガス像に関しては、有意(p=0.001)にCO2群で少なかった。3)術後の症状は腹痛及び腹満感は両群間に差を認めなかったが、嘔気は有意(p<0.05)にCO2群で低かった。4)検査後の嘔吐は通常群が15例(13.3%)でCO2群が5例(4.8%)と有意(p<0.05)にCO2群で少なく、Metoclopramideの使用は通常群が13例(11.5%)でCO2群が6例(5.7%)と有意差は認めないが通常群で多かった(p=0.13)。5)鎮静剤の使用量には差を認めなかった。6)検査中に収縮期血圧190mmHg以上で降圧剤を要した例は、通常群が13例(11.5%)でCO2群が8例(7.6%)、酸素飽和度90%未満の低酸素症は、通常群が14例(12.4%)でCO2群が8例(7.6%)であり、有意差を認めないも(p=0.33、p=0.24)、いずれも通常群で多かった。偶発症は、通常群で膵炎を2例(1.8%)、胆管炎を通常群で1例(0.9%)とCO2群で1例(1.0%)に認めたが、出血、肺炎は認めなかった。【結論】ERCP時のCO2送気は、処置成績には影響を認めず、処置中の呼吸循環動態の安定にも寄与する可能性も高く、嘔吐等の術後の症状を軽減しうるため有用である。
索引用語 ERCP, 二酸化炭素