セッション情報 |
シンポジウム22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
ERCP関連手技による合併症とその予防
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タイトル |
内S22-5:CO2送気のERCP関連手技による偶発症の予防効果について(単施設RCT)
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演者 |
児玉 亮(信州大・消化器内科) |
共同演者 |
村木 崇(信州大・消化器内科), 新倉 則和(信州大・内視鏡センター) |
抄録 |
【目的】ERCP関連手技は治療を中心に多岐にわたって発達し手技も複雑化している。処置が長時間に及ぶことが多く、長時間の処置・送気が腸蠕動を誘発し処置自体を困難にするとともに処置成功率・偶発症発生率に影響すると思われる。今回我々はCO2送気がERCP関連処置の偶発症を予防しうるか、単施設ランダム化比較試験で通常送気群とCO2送気群に分け比較検討した。【方法】対象は2010年11月から2011年3月までに当院でERCPを行った130例(通常送気66例、CO2送気64例) 。検討項目は2時間後、翌日のWBC、AMYと腹痛の有無、および偶発症の有無に加え、蠕動抑制剤・鎮静鎮痛剤の追加、処置時間、胆膵管挿管率・時間、処置中の蠕動と処置後の腹部膨満感・嘔気の程度(score化し評価) 。【成績】通常送気群及びCO2送気群においてWBC上昇(基準値上限以上)を認めた症例はそれぞれ2時間後33.3%、21.9%、翌日18.2%、7.8%であり、AMY上昇(基準値上限の3倍以上)を認めた症例は2時間後7.8%、7.8%、翌日9.1%、7.8%といずれもCO2送気群で低い傾向を示した。また、ERCP後膵炎(Cotton分類)は、6.1%、0%でありCO2送気群で有意に低かった(p=0.04)。他の偶発症は迷走神経反射を通常送気群で1例認めた。蠕動抑制剤の追加を3%、0%で、鎮静鎮痛剤の追加を49%、42%の症例で要し、いずれもCO2送気群で少ない傾向であった。また、平均処置時間は37分、39分。胆管挿管率は、94%、98%。挿管までの平均時間は345秒、224秒。膵管は363秒、294秒とCO2送気で良好な傾向を示した。処置中の蠕動と処置後の腹部膨満感、吐き気の程度はCO2送気で良好であった。【結論】CO2送気はERCP関連手技の処置を妨げずにERCP後膵炎を予防する可能性が示唆された。 |
索引用語 |
CO2送気, ERCP |