セッション情報 シンポジウム22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

ERCP関連手技による合併症とその予防

タイトル 内S22-9:

EST後の合併症とその予防

演者 簑田 竜平(福岡大筑紫病院・消化器内科)
共同演者 植木 敏晴(福岡大筑紫病院・消化器内科), 松井 敏幸(福岡大筑紫病院・消化器内科)
抄録 【目的】我々は、2009年J Gastroenterolで、中等症の急性胆管炎を伴った総胆管結石症例において、緊急ESTは待機的に比し膵炎や出血などの合併症に有意差がないことを報告した。その後、2008年から積極的に緊急ESTを行う方針とした。そこで総胆管結石症例におけるEST後の合併症とその予防について検討した。【対象と方法】2008年1月から2010年12月まで当科で経験した初回の総胆管結石症に対してESTを施行した163例を対象とした。対象のうちわけは、男性91例(55%)、女性72例(46%)、平均年齢は66±15歳(27~96歳)、背景は、1.胆石径(mm)、2.胆管径(mm)、3.結石数(個)、4.胆管炎重症度(軽症か中等症~重症)、処置内容は、5.膵管造影の有無、6.膵管ステントの有無、7.EST分類(小切開、中~大切開)、8.結石処置(ESTのみ、EST+EBS、EST+EBS+EML)、9.施行者変更の有無10.診断時期における緊急ERCPか待機的ERCPか、合併症は、1.ERCP後膵炎の有無、2.出血の有無である。【成績】背景は、胆石径は6±7mm、胆管径は13±6mm、結石数は、1個が115例(70%)、2個以上が48例(30%)、胆管炎重症度は、軽症75例(46%)、中等~重症は88例(54%)、膵管造影は108例(66%)、膵管ステント留置例は79例(48%)、ESTの種類は、小切開12例(7%)、中~大切開は151例(93%)、ESTのみは5例(3%)、EST+EBSは112例(68%)、EST+EBS+採石は40例(24%)、施行者の変更は104例(63%)、緊急ERCPは77例(47%)、待機ERCPは86例(53%)、ERCP後膵炎は12例(7%)、出血例は3例(1%)であった。緊急ESTはERCP後膵炎に影響を及ぼす傾向にあった(p=0.059)が、その他の因子は有意差がなかった。【結論】総胆管結石症におけるERCPについては、緊急性が低い時には、待機的にERCPを行うことで、EST後ERCP膵炎を防止できるであろう。
索引用語 ERCP後膵炎, EST