セッション情報 | シンポジウム22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)ERCP関連手技による合併症とその予防 |
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タイトル | 内S22-10:胆管結石に対する安全かつ確実な内視鏡治療-EST(小切開)併用EPBD |
演者 | 比佐 岳史(佐久総合病院・内科) |
共同演者 | 古武 昌幸(佐久総合病院・内科), 高松 正人(佐久総合病院・内科) |
抄録 | 背景:胆管結石の内視鏡治療において、ESTでは出血、EPBDでは膵炎が懸念される。また、ESTの切開範囲と除去可能な結石径は必ずしも対応しない。一方、EST(小切開)に膵内胆管径・結石径に応じたEPBDを併用することで、出血・膵炎の軽減、砕石率の低減による確実な結石除去が期待される。 目的:胆管結石に対するEST(小切開)併用EPBDの安全性、有用性を検討すること。 方法:2008年5月~2011年2月の間、初回胆管結石に対しEST(小切開)併用EPBDを施行した136例を対象とし、1.完全結石除去率、完全結石除去群の平均治療回数、2.砕石率、3.偶発症について検討した。ESTはEndocut modeで行い、小切開程度とした。EPBDのバルン径は、膵内胆管径・結石径に応じて8mm、10mm、12-15mmを選択し、目標拡張径に達した時点で速やかにバルンを減圧した。原則としてEPBDバルン径以上の結石および多数の結石に対して機械的砕石具を併用した。遺残結石確認にはバルンカテーテルあるいはIDUSを用いた。対象の内訳は、平均年齢77.2歳(31-98歳)、平均結石径9.3mm(2-25)、平均結石個数3.4個(1-30)であり、使用EPBDバルン径は8mm-10mm:123例、12-15mm:13例であった。なお、治療回数は結石除去を行った回数とし、結石除去前の胆管ステント留置は21例(15.3%)、結石除去前のEST施行は18例(13.1%)、ESTとEPBDの同時施行は118例(86.7%)であった。 結果:1.完全結石除去率は94.1%(128/136)、平均治療回数は1.3回(1-4)であった。完全結石除去群の平均結石径は9.1mm(2-25)、平均結石個数は3.0個(1-15)であった。一方、不完全結石除去となった8例中2例は胆管切開術を施行され、他の6例は胆管ステント留置で退院となった。不完全結石除去群の平均結石径は13.8mm(10-18)、平均結石個数は11個(1-30)であった。2.砕石率は26.5%(36/136)であった。3.膵炎を2例(1.5%)に認め、うち1例は膵管への処置具誤挿入例であった。胆管炎を1例(0.7%)に認めた。 結語:胆管結石に対するEST(小切開)併用EPBDは偶発症の低減、確実な結石除去に寄与する可能性がある。 |
索引用語 | 胆管結石, EST/EPBD |