セッション情報 シンポジウム22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

ERCP関連手技による合併症とその予防

タイトル 内S22-11:

ERCP後膵炎の危険因子の検討

演者 鈴木 安曇(京都第二赤十字病院・消化器科)
共同演者 宮田 正年(京都第二赤十字病院・消化器科), 安田 健治朗(京都第二赤十字病院・消化器科)
抄録 【背景と目的】胆道疾患に対するERCP関連手技で問題となるのは、選択的胆管挿管と偶発症の予防である。特にERCP後膵炎は時に重篤化して死に至ることがあり、その予防が重要となる。当院では造影剤を用いた挿管法(造影法)を第一選択とし、胆管挿管困難例に対しては適宜膵管ガイドワイヤ(GW)法やWire-guided cannulation(WGC)、pre cut/膵管口切開を施行している。選択的胆管挿管の成績とERCP後膵炎の危険因子を検討し、ERCP後膵炎の予防法について考察する。【対象】2010年1月から2011年2月までの間に当院で胆道疾患に対してERCP関連手技を行った未処置乳頭症例203例、ERCP関連手技233回を対象とした。患者背景は男性113例、女性90例、平均年齢71.5歳(36-101歳)で、原疾患は胆管結石/胆管炎136例、胆管癌22例、膵癌21例、他臓器癌転移6例、乳頭部腫瘍4例、胆嚢癌3例、その他11例であった。危険因子の検討項目は、年齢、性別、憩室、手技時間、膵管造影、膵管GW法、pre cut/膵管口切開、細胞診、IDUS、EST、切石、胆管、膵管ステント留置、術者とし、ERCP後膵炎の診断基準はCottonの分類に従った。【結果】最終的な選択的胆管挿管成功率は96.1%(195/203例)であり、挿管法は造影法164例(84.1%)、膵管GW法21例(10.8%)、膵管GW法+WGC5例(2.6%)、WGC2例(1.0%)、pre cut/膵管口切開3例(1.5%)であった。ERCP後膵炎は7例(3.0%)にみられ、軽症5例、中等症2例で重症例は認めなかった。危険因子の検討では、単変量解析では膵管GW法(p=0.013)と手技時間(p=0.013)が有意な危険因子であったが、多変量解析では手技時間(Odds比1.399、95%CI1.075-1.820、p=0.012)のみが有意であった。【結論】愛護的な操作を心がけ、困難例でも無理をせず検査時間の短縮に努めることにより、膵炎の予防が期待できる。
索引用語 ERCP後膵炎, 危険因子