セッション情報 シンポジウム22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

ERCP関連手技による合併症とその予防

タイトル 内S22-12:

Wire guided cannulationの検証

演者 北村 勝哉(昭和大・消化器内科)
共同演者 吉田 仁(昭和大・消化器内科), 井廻 道夫(昭和大・消化器内科)
抄録 【目的】欧米では,ERCP後膵炎の予防としてwire guided cannulation(WGC)が行われており,本邦においても徐々に普及し始めている.当施設におけるWGCの成績を検証する.【方法】当施設では,2009年12月までcannulaと造影剤による胆管挿管(通常法)を行い,2010年1月よりsphincterotomeやcannulaを用いた0.025 inchのguide wire(GW)による胆管挿管(WGC法)に変更した.初回胆管挿管困難例には,膵管GW法やpre-cut法(膵管口切開術)を施行した.2007年1月から2011年2月までのERCP関連手技1402例のうち,無処置乳頭532例を対象に通常法377例とWGC法155例の胆管挿管率,ERCP後合併症発症率をretrospectiveに検討した.【成績】通常法とWGC法の年齢,性別に有意差なし.初回胆管挿管率(79.6% vs 74.2%)に有意差なく,膵管GW法施行率(5% vs 9.7%,p=0.047),膵管GW法胆管挿管困難→pre-cut法施行率(7.2% vs 12.9%,p=0.034)は,通常法と比較してWGC法で有意に高かった.最終胆管挿管率(94.4% vs 95.5%)は両群間で有意差を認めなかった.両群間のERCP後合併症発症率は,膵炎(5.6% vs 3.2%),出血(2.4% vs 1.3%)に有意差を認めなかったが,穿孔は通常法と比較してWGC法で有意に高かった(0% vs 1.9%,p=0.038).またWGC法にて膵管処置を有した68例のうち,膵管ドレナージ(EPD) 34例と非EPD 34例のERCP後膵炎発症率(5.9% vs 8.8%)に有意差を認めなかった.【結論】WGC法と通常法の胆管挿管率,ERCP後膵炎,出血発症率に有意差を認めず,WGC法においてGW操作による穿孔発症率が増加した.WGC法における膵管処置例に対する膵炎予防目的の膵管ドレナージに関しては課題が残った.
索引用語 Wire guided cannulation, ERCP合併症