セッション情報 |
シンポジウム22(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
ERCP関連手技による合併症とその予防
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タイトル |
内S22-13:胆管挿管困難例におけるDouble-wire 法による胆管挿管率の向上とERCP後膵炎の予防
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演者 |
田中 麗奈(東京医大病院・消化器内科) |
共同演者 |
祖父尼 淳(東京医大病院・消化器内科), 糸井 隆夫(東京医大病院・消化器内科) |
抄録 |
【背景】現在胆管挿管困難例に対して膵管ガイドワイヤー法(P-GW)が普及しているが、膵管造影の有無にかかわらず術後膵炎の発症率が高くなるとの報告もある.一方、P-GW施行時には膵管ステント留置が膵炎発生予防に有用であるとの報告もある.当科では,Wire-guided cannulation (WGC)での胆管挿管を行い,胆管挿管困難例に対しての第一選択としてP-GWを用い、引き続きGWのみで胆管挿管を行い(D-GW),必要に応じて膵管ステントを留置している.今回,D-GWの成績と術後膵炎発症率について検討した.【対象と方法】2009年6月から2010年12月までに,胆管挿管を目的としてD-GWを行った症例は42例(総胆管結石23例,膵癌4例,胆管癌4例,急性胆嚢炎3例,他8例).胆管挿管の戦略は前述したごとく,パピロトームまたは造影カテーテルを用いたWGCを行い,困難な場合には膵管にGWを留置して胆管に対して再度WGCを行った.困難例で必要な場合には下部胆管の屈曲の程度をみる目的で少量の造影を行った.最終的に胆管挿管が困難な場合は膵管口からのプレカット(PSP)を行った.膵炎予防の自然脱落型ステントは基本的にESTを施行しない症例に留置した.【結果】D-GWを行った42例中37例(88%)で胆管挿管に成功した.不成功の5例中4例はPSPにて胆管挿管が可能となった.残りの1例はパピロトームによる胆管挿管時に留置した膵管GWが邪魔になるため,膵管GWを抜去し通常のカテーテルに交換して挿管が可能となった.術後膵炎は3例(7.1%)でいずれも軽症であった.膵管ステント留置 (S) 群と非留置 (NS) 群とで膵炎の発症率に差はなく(5.6%vs8.3%, p=0.73),D-GW全体の平均アミラーゼ値は374.3U/lで,S群, NS群で 260.3U/l,501.5U/l (p=0.23)であった.【結語】D-GWは高い胆管挿管率と低い膵炎発症率が期待できる.膵管ステント留置に関しては明らかな膵炎発症率やアミラーゼ値に関して有意性は認めないものの高アミラーゼ血症を抑えられる可能性が示唆された. |
索引用語 |
ERCP関連手技, 膵管ガイドワイヤー法 |