セッション情報 |
シンポジウム14(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)
機能性消化管障害の病態と治療
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タイトル |
消S14-4:腸電図を用いた非侵襲的大腸運動機能評価法の確立
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演者 |
矢野 弘美(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・消化器内科学) |
共同演者 |
岡久 稔也(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・消化器内科学), 高山 哲治(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・消化器内科学) |
抄録 |
【目的】過敏性腸症候群を始めとする機能性消化管障害の病態解明に基づく新薬の開発が進み、客観的指標による病態評価および治療効果判定の必要性が高まっている。しかし、機能性消化管障害に対する検査は、X線マーカー法、内圧測定法、バロスタット法、Functional MRIなどが行われ、簡便かつ非侵襲的に施行することは困難である。今回我々は、腸電図を用いて大腸活動電位を測定することにより、簡便かつ非侵襲的に大腸運動機能の評価が可能であるか検討した。【方法】健常成人30名を対象とし、腸電位の測定はニプロ胃電計EG(A&D)を用い腹部体表面のS状結腸長軸方向の2電極間の活動電位を計測した。対象者のうち3名は36点の圧センサー付カテーテルをS状結腸に挿入し、ManoScan360(Sierra Scientific Instrument)を用い大腸内圧波形も同時測定した。測定開始30分後にクエン酸モサプリド10mgを経口投与し、その後120分間腸電位と大腸内圧を連続記録し、専用プログラム(NIPRO ESC2、ManoView)を用いて高速フーリエ解析し、ピーク周波数とピーク周波数におけるパワーの推移を比較検討した。【成績】腸電位波形のピーク周波数は2cpm(1.98±0.46cpm)で推移し、クエン酸モサプリド投与前後で有意な変化は認めなかった。大腸内圧波形のピーク周波数も2cpmであり、腸電位波形と同様の推移を示した。クエン酸モサプリド投与90分後に腸電図のピーク周波数のパワーは最大となり、大腸内圧波形のピーク周波数のパワーも腸電図と同様に推移した。【結論】腸電図を用いて大腸活動電位を測定することにより、大腸運動機能を簡便かつ非侵襲的に評価できる可能性が示唆された。腸電位測定による大腸運動機能評価法は、薬効評価に利用できるとともに、新しい概念に基づく機能性消化管疾患の診断と病態の分類および治療薬の最適使用に役立つ可能性が考えられる。 |
索引用語 |
機能性消化管障害, 腸電図 |