セッション情報 シンポジウム23(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器癌の画像診断における基本読影:癌の浸潤・進展を読む-リンパ節・血行性・播種性転移・直接浸潤-

タイトル 外S23-1:

MRI拡散強調像を用いた食道癌転移リンパ節診断

演者 首藤 潔彦(千葉大大学院・先端応用外科学)
共同演者 河野 世章(千葉大大学院・先端応用外科学), 松原 久裕(千葉大大学院・先端応用外科学)
抄録 【目的】MRI拡散強調背景脂肪抑制法(DWIBS)は癌診断に臨床応用されてきた新しい画像診断法である. しかし胸部縦隔領域ではS/N比が低下すると考えられており, またリンパ節診断では偽陽性も多く見られ, 癌の存在診断に限られる報告は多いものの, リンパ節診断に関する報告は少ない. 食道癌のリンパ節診断においてDWIBSとPETを比較し, DWIBSでの真陽性と偽陰性の比較からどういった特徴を有するリンパ節がDWIBSで描出され得るかを検討した.【方法】対象は食道癌切除例85例, 総郭清リンパ節1183群(3332個), 組織学的転移リンパ節88群(136個), 術前治療 なし35例. DWIBS撮像は1.5T, single shot EPIにて試行し(TR/TE 10000/75ms, b = 0, 1000s/mm2), 異常高信号を転移陽性と判定しT2/DWIBS fusion画像にて部位を確定した. PET撮像は370MBq F18-DG tracerを用い, SUV >3を転移陽性と判定した. 真陽性リンパ節(TP)と偽陰性(FN)について, 直径, 存在部位, 術前治療, リンパ節内の癌細胞密度を比較した. なお個数評価は各所属リンパ節群を1単位群として集計し, 1群に2個以上の転移リンパ節を有した場合には計測値の最大値を用いた.【成績】DWIBSとPETの診断成績は感度 65%, 44% (P<0.05), 特異度 97%, 96%, PPV 63%, 73% (NS.)であった. TP/FNの比較では直径では有意差を認めず, 存在部位ではPETの感度が腹部 64%, 中下縦隔 46%, 頸部上縦隔 25%と口側で不良だった. 術前治療の有無では各々DWIBS 79%, 52%, PET 47%, 39%であり治療修飾により診断能は低下した. 癌細胞密度の比較ではDWIBS TPとFNでは各々64%, 14%, P<0.001)であり, 転移リンパ節内の1/3以上の範囲で癌細胞が見られたものでは96%でDWIBSで描出可能であった.【結論】DWIBSは拾い上げ診断法として偽陽性も多いものの, 食道癌転移リンパ節に関しては癌細胞密度を反映し, 無被爆, 低コストといった面からも有用と考えられた.
索引用語 食道癌, MRI