セッション情報 |
シンポジウム23(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
消化器癌の画像診断における基本読影:癌の浸潤・進展を読む-リンパ節・血行性・播種性転移・直接浸潤-
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タイトル |
外S23-3:直腸癌におけるUnder staging risk factorの解明 ―内臓脂肪がStage migrationに与える影響―
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演者 |
星野 好則(慶應義塾大・外科) |
共同演者 |
長谷川 博俊(慶應義塾大・外科), 北川 雄光(慶應義塾大・外科) |
抄録 |
【目的】直腸癌外科治療には多くの術式や術前治療が存在し、正確な術前画像診断が要求される。さらにUnder stagingなどのStage migrationは治療法選択の妥当性に強い影響を与え、そのリスク評価が必要である。今回、当院での術前画像診断の正診率を明らかにし、Stage migrationのリスクファクターを明らかにすることを目的とした。【方法】当院で2007年1月から2010年12月までに手術を受けた大腸癌患者650例(結腸癌475例、直腸癌175例)のうち、直腸癌患者175例を対象としたRetrospective cohort studyを行った。このうち、緊急手術症例、人工肛門造設術施行症例、内視鏡治療後追加切除症例、炎症性腸疾患合併症例など41例を対象外とし、134例を解析対象として直腸癌壁深達度、直腸間膜リンパ節転移(Regional LN)、骨盤内側方リンパ節転移(Lateral LN)に関して、年齢、性別などの患者背景因子やウエスト、ヒップ周囲径など肥満に関する因子を共変量として解析を行った。【成績】注腸検査、MRIによる壁深達度正診率はそれぞれ64%、51%であり(kappa coefficient(KC);0.369 vs. 0.193)、Stage正診率はそれぞれ75%、71%であった (KC;0.492 vs. 0.378)。また、CT、MRIによるRegional LN正診率は68% 67%であり(KC;0.317 vs. 0.345)、Lateral LN正診率は97%、96%であった(KC;0.700 vs.0.747)。さらにStage migrationに関する検討では、体重・BMI・ウエスト周囲径・ヒップ周囲径が大きい症例では壁深達度のUnder stagingが発生しやすい傾向にあった。多変量解析ではヒップ周囲径91cm以上は壁深達度Under stagingの独立した危険因子であった(p<0.05)。さらに腫瘍径5cm上では有意にOver stagingを多く認めた(p<0.001)。【結論】画像診断によるUnder stagingの危険因子として患者肥満度が重要であると考えられた。 |
索引用語 |
Stage migration, 肥満 |