セッション情報 シンポジウム23(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器癌の画像診断における基本読影:癌の浸潤・進展を読む-リンパ節・血行性・播種性転移・直接浸潤-

タイトル 消S23-5:

大腸癌肝転移の治療方針決定におけるGd-EOB-DTPA造影MRIの有用性

演者 鶴崎 正勝(島根大附属病院・放射線科)
共同演者 尾上 俊介(名古屋大・消化器外科), 荒井 保明(国立がん研究センター中央病院・放射線診断科)
抄録 【目的】現在、造影CTが大腸癌肝転移の診断の中心であるが、肝特異性造影剤であるGd-EOB-DTPA造影MRI(以下EOB-MRI)はその高い診断能から微小な肝転移検出に有用性が期待される。そこで今回我々は大腸癌術後の肝転移の治療方針決定におけるEOB-MRIの有用性を造影CTと比較検討した。【方法】大腸癌術後フォローとして造影CTを施行した症例のうち、同時期にEOB-MRIを施行した46例を対象とした。CT、MRIとも放射線科医2名がon site読影を行い診断能を評価し、EOB-MRI が治療方針に寄与したかを検討した。【成績】造影CTにて46例中40例に肝転移が疑われ、うち肝切除の適応となりうる症例は39例であった。残りの6例は良性腫瘍または肝転移なしと考えられた。EOB-MRIでは、CTで診断された手術適応39例中11例が、新たな病変の検出により術式変更となり、3例が良性腫瘍または肝転移なしに診断が変更となり手術を回避できた。よってEOB-MRI は46例中14例(30.4%)の治療方針変更に寄与した。画像診断後、肝切除を施行した32例について検討すると、造影CTの感度が78.8%、陽性適中率が96.3%であったのに対し、EOB-MRIの感度は97.0%、陽性適中率が98.5%となり、CTと比較し優れた診断能を示した。【結論】大腸癌肝転移の術前検査としてEOB-MRIは治療方針決定に有用と考えられた。
索引用語 肝転移, 大腸癌