セッション情報 シンポジウム23(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器癌の画像診断における基本読影:癌の浸潤・進展を読む-リンパ節・血行性・播種性転移・直接浸潤-

タイトル 消S23-6:

膵頭部癌の局所進展度診断におけるMIPおよびMPR像を用いたMDCTの有用性

演者 有川 俊二(久留米大・放射線医学DELIMITER有川医院)
共同演者 内田 政史(久留米大・放射線医学), 安本 真希子(久留米大・病理学)
抄録 【目的】膵頭部癌はその解剖学的位置より膵内胆管、十二指腸、隣接する血管へ浸潤しやすく、手術適応を決定するためには膵癌取り扱い規約に基づき詳細な局所診断が必要となる。今回、我々は膵頭部癌の局所進展度診断に対してMIPおよびMPR像を併用したMDCTの診断能を検討した。【対象と方法】対象は2007年4月から2010年8月までに膵頭部癌で手術された計28症例で、全例術前に化学放射線療法は行われていない症例である。CT装置は16列MDCTが15例、128列MDCTが13例で、全例とも動脈相、膵実質相、門脈優位相、静脈相のダイナミック撮影を行い、再構成画像には動脈相は0.625mm厚、その他の相は1.25mm厚で行った。検討項目は膵癌取り扱い規約に基づき、CH、DU、S、RP、A、PVの膵局所進展について横断像のみの診断能と横断像+MIP(血管)およびMPR像併用での診断能を比較した。【結果】CH浸潤は横断像のみと横断像+MPR像併用でともに感度100%、特異度71%で差を認めなかったが、DU(86%、86% vs 86%、93%)、S(83%、73% vs 83%、82%)、RP(68%、56% vs 95%、78%)は横断像のみより横断像+MPR像併用で明らかに感度と特異度が上昇した。また、血管浸潤に関しても、A、PVともに横断像のみよりMIPおよびMPR像併用で特異度(A; 86% vs 93%、PV; 68% vs 96%)が上昇した。【結語】膵頭部癌の局所進展度診断においてMDCTの横断像のみでなくMIPとMPR像を併用することにより、より正確な膵局所進展度診断を行うことができた。
索引用語 膵頭部癌, MDCT