セッション情報 シンポジウム23(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器癌の画像診断における基本読影:癌の浸潤・進展を読む-リンパ節・血行性・播種性転移・直接浸潤-

タイトル 外S23-8:

64列マルチスライスCTを用いた等方性ボクセル画像による膵癌の術前進行度診断

演者 加藤 良一(藤田保健衛生大・医療科学部放射線学科)
共同演者 花岡 良太(藤田保健衛生大・放射線医学), 堀口 明彦(藤田保健衛生大・胆膵外科)
抄録 【目的】64列マルチスライスCTから得られる等方性ボクセル画像による膵癌の術前進行度診断能について検討した。【対象および方法】2004年から2006年までに開腹術が施行され、病理組織学的に評価が可能であった膵癌症例38例を対象とした。64列マルチスライスCTを用いて0.5mmスライス厚にて術前造影CT検査(単純、早期動脈相、膵実質相、肝実質相、平衡相)を行った。得られたデータから多断面再構成像を作成し、腫瘍の大きさ、膵内胆管浸潤、十二指腸浸潤、膵前方組織浸潤、膵後方組織浸潤、門脈浸潤、動脈浸潤、膵外神経叢浸潤、他臓器浸潤、リンパ節転移、肝転移を術前診断し、手術所見と対比した。【結果】腫瘍の大きさの正診率は82%であった。膵内胆管浸潤、十二指腸浸潤、膵前方組織浸潤、膵後方組織浸潤、門脈浸潤、動脈浸潤、膵外神経叢浸潤、他臓器浸潤、1群リンパ節転移、2群リンパ節転移および肝転移の正診率はそれぞれ100%、87%、57%、65%、82%、91%、87%、100%、83%、81%および94%、感度はそれぞれ100%、100%、82%、83%、100%、100%、63%、100%、38%、23%および92%、特異度はそれぞれ100%、80%、37%、45%、63%、88%、100%、100%、92%、87%および95%であった。【結論】64列マルチスライスCT による膵癌の術前進行度診断は、腫瘍の大きさ、膵内胆管浸潤、十二指腸浸潤、門脈浸潤、動脈浸潤、他臓器浸潤、肝転移に関しては診断能が高く、有用であると考えられる。膵前方組織浸潤、膵後方組織浸潤については癌に随伴する膵炎による影響で特異度が低下したと考えられる。膵外神経叢浸潤についても随伴性膵炎による影響で感度が低かったと考えられる。リンパ節転移については感度が低く、大きさによる評価には限界があると考えられる。
索引用語 マルチスライスCT, 膵癌