セッション情報 シンポジウム24(消化器外科学会・消化器病学会合同)

腹膜播種を伴う胃癌に対する治療の問題点と戦略

タイトル 外S24-2:

腹膜播種を有する胃癌に対する腹腔内化学療法を併用した集学的治療

演者 滝口 伸浩(千葉県がんセンター・消化器外科)
共同演者 貝沼 修(千葉県がんセンター・消化器外科), 永田 松夫(千葉県がんセンター・消化器外科)
抄録 【目的】高度進行胃癌の治療成績は、新規抗癌剤の開発によりMSTが13ヶ月にまで延長した。一方、根治切除不能胃癌の手術意義については、姑息手術は病状コントロールとして位置づけることができるが、減量手術については明確な結論はない。とくに播種を合併したStageIV胃癌に対しては、卵巣癌を参考として腹腔内化学療法の意義を含めて、切除の意義を検討する必要がある。fStageIV(13版)症例を対象に術前(Neo)および腹腔内治療(CDDP ip)を含めた集学的治療の現状を検討した。【方法】2000年1月から2010年12月までのfStageIV胃癌手術は301例のうち、P1あるいはCy1症例202例を臨床病理学的に検討した。【結果】男135例、女67例。平均年齢64.1才。肉眼型はType3;102例、Type4;56例が多く、深達度はpT3(SS);18例、pT4a(SE);143例、pT4b(SI);35例であった。H1;26例、P1;103例であった。術前化学療法(Neo)施行例111例、腹腔内化学療法(ip)施行例46例であった。予後を5生率;中央値(MST)でみると、fStageIV全体では11.9%;435日。P1またはCy1では14.5%;417日であった。Cy1P0では22.3%;573日であり、P1では6.6%;311日で有意差を認めた。非切除のバイパス術では2年生存率15.2%でMST282日であったが、切除群は5年生存率16%、MST475日と差を認め、幽門側切除497日、胃全摘416日であった。死因は145例の死亡例のうち107例(73.8%)が播種と診断された。術前抗癌剤治療(Neo)の有無では、MSTがNeo+;392日、Neo-;426日でNeo+群で生存率が低かった(p=0.040)。一方、ip療法の意義はip+群がip-群よりも3年生存率34.8%:26.3%で生存曲線では中ぶくれの状態(Wilcoxon P=0.0447)でip+の意義が示された。【結語】術前化学療法は漿膜浸潤胃癌のCy陽性率を低下させることがわかっているが、術前化学療法施行後もCyのみられる胃癌の予後は厳しい。CDDPip療法は腹膜播種コントロールに有効である。集学的治療としての減量手術の意義は見いだしうる。
索引用語 腹膜播種, 集学的治療