セッション情報 |
シンポジウム24(消化器外科学会・消化器病学会合同)
腹膜播種を伴う胃癌に対する治療の問題点と戦略
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タイトル |
外S24-4:CY1P0胃癌の分子・病理学的特性からみた治療戦略
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演者 |
八代 正和(大阪市立大・腫瘍外科学) |
共同演者 |
野田 諭(大阪市立大・腫瘍外科学), 平川 弘聖(大阪市立大・腫瘍外科学) |
抄録 |
【目的】腹腔洗浄細胞診(CY)は胃癌病期進行度分類の一因子であり、CY1P0(腹腔細胞診陽性・腹膜播種陰性)はP1(腹膜播種陽性)と同様にStage IVに分類される。しかしながらCY1P0例には長期生存例が存在し、全てが腹膜播種再発をきたすわけではないことから、CY1P0症例の治療方針は一定の見解が得られていない。今回CY1P0症例を分子病理学的に検討し、予後に関与する因子や治療戦略を検討した。さらに腹腔内遊離癌細胞の腹膜転移形成能について、腹腔内低酸素状態におけるTGFβシグナルや腹膜接着の影響を検討した。【方法】当院で胃切除術を受けたP0進行胃癌1474例中遠隔転移陰性かつCY1P0症例91例を検討対象とし、予後と臨床病理学的背景の検討およびTGFβシグナル下流のリン酸化Smad2発現を免疫組織化学染色にて検討した。次に胃癌細胞を低酸素環境で培養し、腹膜成分への接着能やインテグリン発現およびTGFβR阻害剤の効果を検討した。【結果】CY1症例 (n=91)はCY0症例 (n=1383)に比し有意に予後不良で、4型、高度T stage、リンパ節転移が高頻度であったが、組織型には有意差を認めなかった。またCY1P0 (n=91)のなかでも、4型、低分化型、Smad2発現が予後不良因子であった。4型胃癌の予後はCY1P0胃切除例とP1非切除例との間に有意差を認めなかったが、非4型胃癌ではCY1P0胃切除例がP1非切除例に比し有意に予後良好であった。4型胃癌細胞は低酸素状態により、接着能やα2,α3,α5インテグリン発現が亢進し、またそれらはTGFβR阻害剤にて抑制された。【結論】CY1P0症例において、非4型胃癌は胃切除の適応があるが、4型胃癌は胃切除の意義は少ないと考えられる。CY1P0の4型胃癌治療にTGFβR阻害剤が有用である可能性が示唆された。 |
索引用語 |
腹腔細胞診陽性, 治療戦略 |