セッション情報 |
シンポジウム25(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
IBDの治療戦略 :内科治療の限界と外科治療へのタイミング
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タイトル |
内S25-5:難治性潰瘍性大腸炎に対するインフリキシマブ治療-初回投与の有効性が長期予後に与える影響-
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演者 |
田中 浩紀(札幌厚生病院・IBDセンター) |
共同演者 |
山下 真幸(札幌厚生病院・IBDセンター), 本谷 聡(札幌厚生病院・IBDセンター) |
抄録 |
【背景と目的】インフリキシマブ(IFX)は難治性潰瘍性大腸炎(UC)における有用な治療オプションとなったが,有効例の特徴や長期治療成績は明らかにされていない.今回我々は,難治性UCに対するIFX初回投与の有効性が短期・長期予後に与える影響を検討した.【方法】2005年7月から2010年11月の間にIFXが投与された難治性UC 37例(男20/女17,平均年齢37.7歳,平均罹病期間4.6年,平均観察期間1.9年,左側大腸炎型12/全大腸炎型25,ステロイド抵抗性15/依存性22)を対象とした.Clinical Activity Index(CAI; Lichtiger index)が4以下となった症例を寛解,5以上改善した症例を有効と定義し,2週後・6週後の有効率・寛解率を比較検討した(治療前平均CAI 10.2; 6-16).2週後の有効例をResponder,無効例をnon-Responderとし,累積非手術率をKaplan-Meier法を用いて比較検討した.【結果】2週後の有効率は49%(18/37),寛解率は35%(13/37)であった.6週後の有効率は70%(26/37)であり,2週後と比較し有意に改善した(p=0.021).6週後の寛解率は49%(18/37)と改善傾向を認めたが統計学的有意差は得られなかった.non-Responder 19例のうち6週後に有効となったものは9例(47%),寛解となったものは4例(21%)であった.一方,Responder 18例においては6週後に17例(94%)が寛解に至った.5年累積非手術率は,Responder 90%,non-Responder 20%であり,有意にnon-Responderが不良であった(P=0.0001).患者背景では,2週後の有効率において,左側大腸炎型が全大腸炎型よりも有意に良好であり(75% vs 36%; P=0.026),Responderの治療前CAIがnon-Responderと比較し有意に高値であった(11.2 vs 9.2; P=0.018).また,6週後の寛解率において,ステロイド抵抗例が依存例よりも有意に良好であった(73% vs 32%; P=0.013).【結論】IFX初回投与から2週後の無効例は,6週後に改善傾向は認めても寛解まで至る症例は少ない.さらに,長期予後も不良であり,5年以内に手術となる可能性が極めて高いことが示された. |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, インフリキシマブ |