セッション情報 |
シンポジウム25(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
IBDの治療戦略 :内科治療の限界と外科治療へのタイミング
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タイトル |
内S25-7:クローン病小腸狭窄に対するDBEを用いた拡張術の検討
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演者 |
別府 孝浩(福岡大筑紫病院・消化器内科) |
共同演者 |
平井 郁仁(福岡大筑紫病院・消化器内科), 松井 敏幸(福岡大筑紫病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】クローン病では腸管狭窄が問題となり、外科的手術は再発・再狭窄を考慮し可能な限り回避する事が望ましい。我々はクローン病小腸狭窄に対するEBDの有用性と安全性を明らかにすることを目的とした。【対象と方法】2003年から2011年に当科にてDBEを用いてEBDを施行したクローン病患者62症例を対象とした。EBD手技:FTS社製の処置用DBE 、拡張バルーンはBoston社 TTS balloonを使用。男女比=50:12 初回EBD時年齢36.2歳、初回EBDからの観察期間25ヶ月。病型は小腸型37例小腸大腸型25例。IFXを併用した症例23例。【成績】1.短期成功率(Scopeが口側に挿入可能または症状が改善したものと定義)は64.5%(40/62)。不成功の原因は、ファイバー挿入困難4例、深い潰瘍4例、バルーン挿入不可やガイドワーヤー挿入不可3例、瘻孔形成3例、長く強い屈曲7例、炎症性腫瘤形成1例であった。2.短期成功例40例のうち再拡張が必要な症例は15例(32.5%)であった。初回拡張術から再拡張までの期間は6.5ヶ月であった。3.手術例と非手術例の比較検討では、病変の部位や狭窄数、口側腸管の拡張の有無、IFX併用の有無、腹部手術歴の有無で手術の移行率に有意差なく狭窄長が3cm以上で有意に手術となる症例が多い。(P=0.0039)4.全62例の累積手術回避率は1年後72%、2年後68%、3年後60%であった。5.内科治療を要する合併症は症例数で4.8%(3/62)。急性膵炎2例、血便1例で全例保存的に改善した。【結論】DBEが到達可能な小腸狭窄のうち比較的短いものはEBD可能であった。その長期経過も比較的良好で安全性も高いと考えられ、クローン病の小腸狭窄例の一部は内視鏡治療により手術回避が可能と考えられた。 |
索引用語 |
クローン病, 内視鏡的バルーン拡張術 |