セッション情報 シンポジウム25(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

IBDの治療戦略 :内科治療の限界と外科治療へのタイミング

タイトル 内S25-8:

クローン病小腸狭窄に対するダブルバルーン内視鏡(DBE)による内視鏡下バルーン拡張術(EBD)の有効性と限界

演者 山田 弘志(名古屋大大学院・消化器内科学)
共同演者 大宮 直木(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】従来、クローン病の深部小腸狭窄の治療法は手術のみであったが、DBE下EBDにより手術回避も可能となった。しかし、現状でも手術を回避できない難治症例の存在やEBD後再発が問題である。今回、DBE下EBDの有用性と限界について検討した。【対象と方法】2003年6月~2011年3月に当院でDBEを施行した小腸クローン病81例中、EBDや手術など狭窄解除を必要とする34例(男/女=7/ 27、年齢:36±10歳、小腸型33例、小腸大腸型6例)。【結果】34例のうち、8例(24%)は内瘻(2例)、5cm以上の長い狭窄(3例)、難治性潰瘍(3例:絶食にても潰瘍改善せず)、癒着による挿入困難(1例)のためEBD不可能で手術となった。残り26例(76%)にEBDを施行した。EBD後穿孔は1例(3%)、DBE挿入時穿孔は1例(3%)あった。EBD後、現在までの経過観察中(観察期間中央値21ヶ月、3-80ヶ月)6例(26%)は1回のEBDのみで狭窄症状の再発なし、8例(35%)は狭窄症状再発にてEBD反復することで手術を回避、9例(39%)は繰り返すEBDにても手術となったが、その理由は内外瘻の新たな出現7例、難治性潰瘍1例、ガイドワイアー不通過1例であった。累積非症状再燃率、非手術率は1年後で15/24(63%)、17/23(74%)、3年後で5/19(26%)、9/17(53%)だった。病変数の検討では、EBDは53病変に対して計87回実施し、成功率は97%、穿孔率は1%。【結論】クローン病の深部小腸狭窄に対してEBDは手術を回避する手段として有効であり、残存小腸が短い場合や希望者には勧められる治療法である。しかし、再狭窄が問題であり、繰り返しEBDを実施しなければならない場合が多いため、再狭窄防止の効果的な治療法を模索しなければならない。
索引用語 クローン病, 小腸