セッション情報 一般演題

タイトル 28:

注腸からの逆流法回腸造影が存在診断に有用であった単純性潰瘍の1例

演者 木村 利幸(大阪北逓信病院 消化器内科)
共同演者 松枝 重樹(大阪北逓信病院 消化器内科), 小谷 宏行(大阪北逓信病院 消化器内科), 矢野 浩司(NTT 西日本大阪病院 外科), 岡本 茂(NTT西日本大阪病院 病理), 永島 美樹(虎ノ門病院 消化器内科), 山東 剛裕(済生会茨木病院 内科), 長谷 寛二(大阪北逓信病院 消化器内科DELIMITER滋賀県成人病センター 消化器科), 勝島 慎二(滋賀県成人病センター 消化器科)
抄録  単純性潰瘍は主として回盲部に発生し、難治性原因不明の比較的まれな慢性炎症性腸疾患である。我々は数年間にわたる原因不明の腹痛患者に対し注腸からの逆流法回腸造影を施行して潰瘍性病変の存在を確認し、手術の結果単純性潰瘍と診断した症例を経験した。【症例】50歳、女性【主訴】腹痛【家族歴】父親が食道癌【既往歴】特記すべき事なし【現病歴】二年半前に突然下血し近医に緊急入院し、上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査および小腸造影を受けたが原因は不明であった。その後腹痛を自覚するようになりさらに2カ所の病院で同様の精査を受けたがやはり原因は不明であった。再度の精査を希望し当科受診した。【現症】身長156cm 体重40kg 皮膚に異常所見は認めなかった。眼症状はなく、口腔内に潰瘍は認めなかった。陰部潰瘍も認めなかった。腹部は平坦軟で圧痛は認めなかった。【初診時検査所見】便潜血は陰性。便培養異常なし。血液検査で軽度の貧血とCRP値の上昇を認めた。ツ反は(++)であった。胸部X線検査は異常認めなかった。上部消化管内視鏡検査では胃炎所見のみであった。胃粘膜シンチグラム、ガリウム腫瘍シンチグラムで異常集積は認めなかった。大腸内視鏡ではバウヒン弁にひきつれを認めた。終末回腸は挿入範囲では異常所見は認めなかった。有管法小腸造影では回腸終末に限局性の壁硬化が疑われたが重なりのため十分な評価はできなかった。【臨床経過】回腸病変の存在を強く疑い注腸からの逆流による回腸造影を行った結果、回腸に3cm大のニッシェとその前後回腸粘膜の浮腫が描出された。単純性潰瘍、腸結核などを疑い回腸部分切除術を行った。組織は下掘れの目立つUl-4の潰瘍で炎症は非特異的で単純性潰瘍と診断した。術後貧血は改善し、CRP値も陰性となった。【まとめ】回腸病変の描出に注腸造影が有用であった単純性潰瘍の症例を経験した。消化管病変が疑われる症例には上部下部消化管内視鏡検査や小腸造影検査のみならず、併せて積極的に注腸造影も行うべきと思われる。
索引用語 単純性潰瘍, 回腸