セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
105:ストレスを契機に発症したと思われるCronkhite-Canada症候群の一例
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演者 |
白倉 永理(神戸市立中央市民病院消化器センター) |
共同演者 |
岡田 明彦(神戸市立中央市民病院消化器センター), 山口 裕(神戸市立中央市民病院消化器センター), 和田 将弥(神戸市立中央市民病院消化器センター), 高橋 健(神戸市立中央市民病院消化器センター), 上嶋 一臣(神戸市立中央市民病院消化器センター), 木本 直哉(神戸市立中央市民病院消化器センター), 岡部 純弘(神戸市立中央市民病院消化器センター), 滝本 行延(神戸市立中央市民病院消化器センター), 大橋 剛(神戸市立中央市民病院消化器センター), 伊吹 康良(神戸市立中央市民病院消化器センター), 織野 彬雄(神戸市立中央市民病院消化器センター) |
抄録 |
症例は56歳男性。既往歴,家族歴は特記すべきことなし。平成13年に転職し平成14年2月中旬より末まで米国へ出張していた。帰国後3月初旬より味覚異常が出現しついで体重減少と下痢を呈するようになった。4月20日頃より下腿浮腫が出現し、また爪の変形,脱落もみられた。近医にて止痢剤を処方され5月10日当院を紹介受診し、吸収不良症候群の疑いにて精査加療目的に5月14日入院となった。入院時血液検査にてHb12.6、TP3.4g/dl、Alb1.7g/dlと貧血と著明な低蛋白血症があり、炎症所見は認められなかった。またマグネシウム,亜鉛,セレンなどの微量元素の欠乏が認められた。下部消化管内視鏡検査にて結腸全域にわたりjuvenil type polypの多発ポリープが観察され、上部消化管内視鏡においても胃全域に同様のポリープが認められた。病歴,症状と内視鏡所見よりCronkhite-Canada症候群と診断した。99mTC蛋白漏出シンチグラムでは上行結腸と骨盤底部でactivityが観察され蛋白漏出性胃腸症も合併していた。5月28日よりプレドニゾロン(PSL)40mg/day、トラネキサム酸750mg/dayの内服を開始。下痢を認めず経口摂取も良好であったため高カロリー点滴は施行せず微量元素補給飲料(テゾン)の内服を併用した。PSL内服開始時に下腿浮腫は自然軽快しており、それに伴い体重は6kg減少していたが、内服治療を開始後、体重は増加に転じ低蛋白血症は軽快した。PSLは1週間で5mgづつ漸減し、3週経過後の血液検査にて低蛋白血症と微量元素欠乏は改善、99mTC蛋白漏出シンチグラムにてactivityは軽快していた。投与後1ヶ月後には上記の臨床症状が改善し全身状態良好にて6月22日退院となった。Cronkhite-Canada症候群は消化管ポリポーシス,下痢,爪甲異常,脱毛,味覚異常などの特徴的な症状を示す比較的稀な非遺伝性の疾患である。ストレスを契機に発症する例が複数報告されており、本症例においても精神的ストレスの関与が示唆された。特徴的な症状と画像所見を呈し、PSL、トラネキサム酸の内服と微量元素補給飲料の併用が有用であったCronkhite-Canada症候群の一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 |
Cronkhite-Canada症候群, ストレス |