セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 15:若年者腹部デスモイド腫瘍の一例 |
演者 | 河野 能士(済生会滋賀県病院 内科) |
共同演者 | 重松 忠(済生会滋賀県病院 内科), 草場 哲郎(済生会滋賀県病院 内科), 川原 猛(済生会滋賀県病院 内科), 檜垣 正(済生会滋賀県病院 内科), 吉栖 正巳(済生会滋賀県病院 内科), 田中 基夫(済生会滋賀県病院 内科), 澤田 昌平(済生会滋賀県病院 内科) |
抄録 | 今回我々は若年者男性の腸間膜に発症した巨大デスモイド腫瘍の一例を経験したので報告する。 症例は17歳男性。主訴は下腹部膨満感。既往歴は特になく、手術歴もなし。平成13年6月に下腹部痛及び膨満感を認め、当科外来を受診。腹部触診上、右下腹部から正中にかけて弾性硬で、可動性のない圧痛を伴う腫瘤を触知した。血液検査上、特に異常は認めなかった。腹部CT及びMRI上は、ほぼ均一で境界明瞭な充実性腫瘤を認めた。小腸造影では空腸・回腸が圧排され、移行部付近で腫瘍と癒着して可動性を認めず、腫瘍の浸潤が疑われた。注腸造影では盲腸からS状結腸が外方に圧排され、ポリープ等の粘膜病変は認めなかった。腹部血管造影では主に上腸間膜動脈の分枝が栄養血管であった。開腹にて腫瘍を摘出したが、右下腹部で小腸への浸潤・穿通を認めたため腫瘍に癒着する小腸及び腸間膜を含めた小腸部分切除術も行った。摘出した腫瘤は大きさ20 x 25 x 10cm、重さ3000gで、割面が白色調であった。組織学的には紡錘形の核を有する分化した線維芽細胞と豊富な膠原線維から形成される病変で、明らかな核の異型性や核分裂像は認めなかった。以上の所見より小腸腸間膜由来のデスモイド腫瘍と診断した。デスモイド腫瘍は稀な疾患であるが、中でも腸間膜由来の発症頻度は非常に少ない。一般には、20歳から30歳台の女性に多く、外傷や手術が発症の誘因となりうるが、本患者は若年男性で、外傷や手術の既往もない稀な症例であった。一方、本疾患の予後は良好とされているが、術後の再発率は高いため、今後の厳重な経過観察が必要である。 |
索引用語 | デスモイド, 小腸腸間膜 |