セッション情報 シンポジウム14(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)

機能性消化管障害の病態と治療

タイトル 消S14-7:

機能性ディスペプシアとHP感染

演者 白枝 久和(金沢医大・消化器内科)
共同演者 田原 智満(藤田保健衛生大・消化管内科), 有沢 富康(金沢医大・消化器内科)
抄録 内視鏡的胃炎と組織学的胃炎とディスペプシア症状にギャップが存在することを日常経験するように、胃の炎症は必ずしも症状を誘発するわけではない。胃の炎症の原因の大部分をしめるH. pylori(HP)感染に関しても、多くのメタ解析の結果は除菌のディスペプシア症状への関与は有意ではあるが僅かであることを示している。では、ディスペプシアの対応にHP感染を考慮しなくてよいのであろうか?我々はこれまでFDのCandidateとなりうる多くの遺伝子多型につきその関与を検討してきたが、今回はHP感染、非感染のディスペプシアという観点より検討した。【対象】FD患者約200例、非FD者約200例を対象とした。全例に内視鏡をはじめとする画像検査、血液検査を施行し、器質的疾患のないことを確認し、またHP感染の有無に関しても確認した。GNB3、TRPV1、SCN10Aなどの刺激伝達系、HT-2ARなどの運動系、MIF、IL-17Aなどの炎症・免疫系、COX-1、HRH2などの恒常性に関与する分子など20以上のSNPをタイピングし、Logistic多変量解析でその関与を検討した。【結果】FD全体ではTRPV1 315G>C、SERTをtargetとするpre-miR325のrs5981521 C>T、SCN10A 3218 T>Cの関与が認められ、それはEPS、PDSに関わらず同様な関与が認められた。一方、HP感染別の検討では、HP感染者ではMIF、NADPHoxidaseをはじめとする炎症・免疫関連分子の炎症惹起性多型や炎症での閾値低下が確認されているTRPV1の多型がFDに関与し、一方HP非感染者では、GNB3、pre-miR325、内臓知覚に関与するSCN10Aの多型など、HP感染者とはまったく異なる遺伝子多型の関与が認められた。【結語】HP非感染下のディスペプシアでは中枢への刺激伝導系が関与し、HP感染下のディスペプシアには末梢レベルでの炎症に基づく刺激受容の撹乱が存在すると考えられた。すなわち、遺伝子型からみると、EPSとPDSには同様の背景が存在し、対照的にHP感染、非感染ではまったく異なる背景が存在すると考えられた。
索引用語 機能性ディスペプシア, Helicobacter pylori