セッション情報 |
シンポジウム25(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
IBDの治療戦略 :内科治療の限界と外科治療へのタイミング
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タイトル |
消S25-11:クローン病痔瘻病変に対するseton法とインフリキシマブ導入例の治療成績と臨床的特徴
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演者 |
辺見 英之(松島病院・大腸肛門病センター) |
共同演者 |
福島 恒男(松島病院・大腸肛門病センター), 松島 誠(松島病院・大腸肛門病センター) |
抄録 |
【目的】クローン病(CD)肛門病変のうちCD痔瘻病変は高頻度であり、再発を繰り返し難治性である。CD痔瘻病変に対するseton法施行例、インフリキシマブ(IFX)導入例における治療成績と痔瘻、腸管病変の臨床的特徴について検討した。【対象】CD痔瘻病変で来院しseton法を施行した122例を対象とした。症例は男女比96:26、平均年齢27.4歳(13~62歳、10代が33人)、平均罹患期間5.7年(1~29年)、肛門膣瘻4例、尿道瘻1例を含む。【方法】痔瘻病変は腰椎麻酔下で診察し、経肛門超音波で瘻管の走行を診断した。seton法施行後に無症状例と有症状例間で臨床的特徴として「瘻管の分岐」「隅越分類」「肛門潰瘍または裂肛病変」「CD病型」「直腸潰瘍を含む直腸病変」について検討した。また難治例にはIFXをスケジュール投与し、大腸内視鏡検査を行い腸管粘膜治癒(mucosal healing、MH)の評価を行った。【成績】痔瘻病変のうち、肛門潰瘍または裂肛合併症例を90例(73.8%)で認め、複数の1次口を有する症例が54例(44.3%)、分岐する瘻管を有する症例が81例(66.4%)認められた。経肛門エコーでは隅越分類IIH型以上に広がる病変が73例(59.8%)に認められた。seton法施行後、寛解例が90例(73.7%)であり、IFX導入が必要となった難治例が32例(26.2%)であった。seton法施行後の無症状例と有症状例間では、各臨床的特徴のうち直腸潰瘍の有無で有意差(P<0.001)が認められた。またIFX導入32例のうち、寛解例は22例(68.8%)であった。寛解例ではMHは17例(77.2%)に認められた。IFX効果不十分例ではMHは2例(20%)であり、CD難治性痔瘻の治療効果にMHは有意な所見と示された(P<0.01)。全症例中の外科移行症例は、人工肛門造設術7例(難治性痔瘻3例、肛門狭窄4例)、腸管狭窄3例、直腸癌 1例であった。【結論】CD痔瘻病変に対してseton法は有効であるが、治療成績には直腸潰瘍病変の有無が関与しており、難治性痔瘻病変にはIFXの投与が有効であり、それらにはMHを高率に認めた。 |
索引用語 |
クローン病肛門病変, インフリキシマブ |