セッション情報 |
パネルディスカッション1(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)
消化器疾患における安静時エネルギー代謝測定の意義と有用性
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タイトル |
消PD1-2:慢性肝疾患における間接熱量計による安静時エネルギー代謝量と呼吸商の検討
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演者 |
齋藤 正紀(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)) |
共同演者 |
森脇 英一朗(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 西口 修平(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)) |
抄録 |
【目的】慢性肝疾患の病態栄養評価に間接熱量計は優れており、安静エネルギー代謝量(Resting energy expenditure : REE)と非蛋白呼吸商(non protein respiratory quotient : npRQ)を実測することができる。肝硬変ではREEが亢進、npRQが低下して、診療ガイドラインでnpRQが0.85以下は予後不良とされている。しかし肝硬変以外の慢性肝疾患での栄養評価や、近年のメタボリック症候群の影響を検討した報告はなく今回我々は慢性肝疾患の成因別に間接熱量計を用いて病態栄養評価を行った。【方法】平成17年10月から平成22年4月に当院に入院した慢性肝疾患患者425名(CH:216/LC:209)に早朝空腹安静状態で間接熱量計計を用いてVO2とVCO2を測定、尿中窒素排泄量(Nu)補正後、 REEとnpRQを算出。またHarris-Benedictsの式より基礎代謝量(Basal energy expenditure : BEE)を求めREE/BEE比で0.9以下と1.1以上を代謝異常として、HBV、HCVおよびNAFLD(NASH含む)症例で比較検討した。間接熱量計はミナト医科学社のAE-300Sを用いた。【結果】対象者はHBV20症例、HCV114症例、NAFLD36症例。背景は年齢(HBV/HCV/NAFLD, 51±14/59±11/52±16)、BMI(22.2±2.6/21.4±2.9/26.6±4.8)、Alb(3.97±0.31/3.94±0.38/4.20±0.43)、TG(75.1±23.7/93.8±34.7/125.4±41.4)、HOMA-R(1.98±1.35/2.05±1.35/2.20±1.08)で、NAFLDはBMIとTGでウイルス性肝炎より有意に上昇を認めた。REE/BEE比(異常率47.1/52.4/34.6%)、npRQ(0.91±0.08/0.88±0.09/0.86±0.08)、燃焼比率(%C:%F:%P, 56:30:14/54:34:12/54:33:12)であり、NAFLDはnpRQの低下を、HCVはREE/BEE比の異常を多く認めた。【考察】NAFLDはメタボリック症候群の影響による脂質代謝異常で呼吸商は低下したと考えられた。一方HCVはREE/BEE比の異常を多く認め、年齢、身長、体重以外の因子、ウイルス側因子等による安静エネルギー代謝の亢進が示唆された。【結語】慢性肝疾患はその成因により病態栄養が異なっていることが示唆された。 |
索引用語 |
非蛋白呼吸商, 安静エネルギー代謝 |